CASEに必要な接着剤塗布の高度化、武蔵エンジニアリングがディスペンサー新製品人とくるまのテクノロジー展2019

武蔵エンジニアリングは2019年5月22日、「人とくるまのテクノロジー展2019」(2019年5月22〜24日、パシフィコ横浜)において、非接触ジェットディスペンサーの新製品「Super Hi Jet」を発表した。

» 2019年05月23日 07時30分 公開
[三島一孝MONOist]

 武蔵エンジニアリングは2019年5月22日、「人とくるまのテクノロジー展2019」(2019年5月22〜24日、パシフィコ横浜)において、非接触ジェットディスペンサーの新製品「Super Hi Jet」を発表した。

photo 武蔵エンジニアリングの新たな非接触ジェットディスペンサー「Super Hi Jet」(クリックで拡大)

CASE時代に最適な塗布技術の在り方

 CASE(コネクテッド、自動運転、シェアード、電動化)とされる自動車業界の大きな変化の中で、自動車のモノづくりで顕著になっているのが、採用される電子部品の数の大幅な拡大である。こうした動きの中で、増える電子部品の実装や固定するための接着剤塗布技術にも、従来以上の省スペース化を実現するための「高精度、超微量化」や、生産量増加に対応するための「生産性向上、高品質化」などが求められているという。

 武蔵エンジニアリングの新製品はこれらのニーズに応えるためのものだ。同社では2002年から非接触で液体を塗布できるJetディスペンス技術を展開し、進化させてきた。Jetディスペンス技術は、離れたところから液体を正確に飛ばし、必要なところに必要な量の液体を塗布する技術である。基板実装の3次元化が進み、接触型の塗布ではディスペンサーヘッドの動きが複雑化し過ぎて正確な塗布ができないケースが増えてきたことからニーズが高まってきたという。

 新製品では、2016年に発売した従来モデルに比べて、従来比3倍以上となる100万mPa・s(ミリパスカル秒)の高粘度の液体に対応したことが特徴となる。高い粘度の液体への対応は、飛ばした液体が着弾した後の広がりを抑えることができるため、より高精度で少ない塗布量で接着などを行うことができる。一方で、高粘度の液体を正確に飛ばすには、最適な方向に強い圧力で液体を押し出すことが必要になる。

 詳細な技術情報については「開示できない」(同社)としているが、同社ではディスペンサーの全体的な機構を一から見直すことで、高粘度の液体でも正確に飛ばせるようになったとしている。「着弾の精度についても従来比4倍に高められた。従来モデルよりも距離が離れたところからでも塗布できるようになるため、使用できる用途も広げられると考えている」(同社)。

 新製品は、高精度が求められるカメラモジュールのUV塗布や、スピーカーへの振動膜接着、プリント基板へのソルダーペーストの塗布などへの用途で提案を進めるとしている。価格については「アプリケーション次第なので、明示できない」(同社)としているが、従来モデルとの併売を当面は続けるという。

photo カメラモジュールへのUV塗布と、プリント基板へのソルダーペーストの塗布をイメージした実演デモの様子(クリックで拡大)

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