―― そこからVRシリーズ、あるいはVシリーズは、どんな信号でも受け付けるマルチフォーマット対応をウリに製品を積み重ねていくことになりましたよね。だけど、私が見ている中では、最先端の旬なフォーマットへどんどんいくんじゃなくって、むしろわざと半歩遅れるというか、1つ前の信号フォーマットに対応するぐらいの感じで製品を出していく。そういうレイトマジョリティー層を取りに行くみたいなイメージがありました。
ところが、今回のV-600UHDは、いきなり最先端の4K/HDRへ対応しました。これはどういう経緯だったんでしょう。
志水 これも考え方は全然変わってなくて。最先端をどんどんやっていくというのは大手メーカーさんの宿命だと思うんですけれども、僕達はマルチフォーマット対応をちょっとずつ広げてきて、それを今4Kまで広げるタイミングだなぁということでして。4KとかHDRもマルチフォーマットの中に入れたというイメージですので、方針を転換して最先端に参入したということでは全くないんです。
―― ただ、4Kという解像度に対応するだけでなく、HDRからSDRへの色域変換まで持ち込んだ。そこが決定的な差になるということなんでしょうか。
笠井 VC-300HD以来マルチフォーマットっていうのをずっとやってきて、ローランドと言えばマルチフォーマットというところまではなんとなく世間的に認められてきていると。
そこで4Kになった時に何が求められているのかというと、おそらく解像度変換だけではないという発想ですね。PC出力では4:4:4は外せない。そしてSDIは12G(ケーブル1本で4K/60Pが伝送可能)が出てきているし、そこも外せない。
辰井 そういう意味では、システムとしてフォーマットが統一されたような現場じゃなくて、あらゆるものを受け止めるクッション装置としてスイッチャーの中にコンバーターがある、見え方としてはそんな感じですね。
志水 その点で言えば、アナログRGB端子を残したというところにフォーカスしてもらうといいかもしれません。あれを残すかどうかは、議論があったところで。
―― PCの世界でもアナログRGBは珍しくなってきました。これはどういう使い方を想定しているんでしょう。
辰井 いざというときのためという感じですね。アナログRGBしかないような、クライアントが持ち込んだPCをつなげなきゃいけないというケースはまだまだありますし。
志水 一方でアナログRGBを排除したいというお客さんも一定数いらっしゃって。「いつまでもこんなのが付いてるからつなぎたがるんだ」というようなお話もあります。次は絶対に取ってくれと。
笠井 ハイエンドではいらないし、コンシューマーもいらない。でも、ビジネスプレゼンや、ホールや会館などの機材の更新がゆっくりとした、ちょうど真ん中のところで生き残ってる端子なんですよね。
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