今回は分類されたグループごとに「そうならないようにするには、どうすればよいか?」を見つける手法をご紹介します。
⇒連載「IoTのイノベーションは問題解決から」バックナンバー
前回までにアイデア探しの準備として、問題そのものを特定(深掘り)し、分類(帰納法)を行うステップまで進みました。
今回は分類されたグループごとに「そうならないようにするには、どうすればよいか?」を見つける手法をご紹介します。
例で使用してきた「急な雨に困った」の続きを実践形式で進めていきます。まず、「そうならないようにするには」を具体的に言葉にしていきましょう。
次は「どうすればよいか」にあたる解決策を考えていくプロセスに移ります。1つのテーマを論理的に分類して組み合わすことができるロジックツリーを使用しましょう。
このロジックツリーを用いて、プロのコンサルタントが使うMECE(ミーシー)と呼ばれる「モレなく、ダブりなく」の状態にしていくことで、あるテーマを構造化し、整理された状態でアイデアを広げていくことが可能になります。
言葉だけでは分かりにくいと思いますので、簡単な事例として「今日の晩御飯の主食を何にするか(便宜上、日本人にとっての一般的な主食)」で考えてみましょう。思い付きで考えると、「ラーメン」「食パン」「うどん」「ごはん」・・・といった具合にいろいろと出てくるとは思いますが、これでは全ての主食を網羅できているかが分かりません。
そこでMECEの登場です。「ラーメン」はよく考えると「麺」の一種なので「麺」をテーマとしたMECEの構成要素になります。「麺」の構成要素には、「そば」「ラーメン」「そうめん」「パスタ」などが挙げられますね(完全に網羅しようとすると「きしめん」などもありますが、一般的なものでまとめることとします)。このように「食パン」「ごはん」なども同じような考え方で進めると、「一般的な日本人の主食」をテーマとしたMECE、その構成要素である「麺」をテーマとしたMECEの2段の構造ができました。
これを積み重ねていくことでモレのないツリー構造が出来上がっていきます。このようにMECEの組み合わせでモレのないツリー構造を作ることを、仮に「応用型演繹法」と呼びたいと思います。「応用型演繹法」のさまざまなテクニックを知りたい方は別のコラムでもご紹介していますので、そちらもご覧ください※)。
※)関連記事:“本当に進む”問題解決〜現場のコンサル力で事業を変える(4)
では、ようやくといった感じではありますが、「急な雨に困った」に対する解決策のうちの1つ、3.「個別の状況に合わせた天気予報にするためにはどうすれば良いか」のアイデアを広げてみましょう。
今回は一緒に進めるのではなく、まずは、みなさんに挑戦してほしいと思いますので、MECEを活用してロジックツリーを完成させてみてください。解説・解答例は次回、お伝えします。
2000年にVSNに入社。インフラエンジニアとしていくつものプロジェクトに参画。VSNの“派遣エンジニアがお客さまの問題を発見し、解決する”サービス、「バリューチェーン・イノベーター(以下、VI)」の構想メンバーであり、一流コンサルタントより問題解決手法の教示を受け、多くの問題解決事案に携わる。派遣会社でありながら、担当した事案には、数億円規模の売り上げ向上につながった例も。
現在は、同社「経営イノベーション本部」にて今後の事業の根幹を担うVIをさらに加速させるべく、事業計画の立案や浸透・推進を行う。
株式会社VSN https://www.vsn.co.jp/
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