ジャパンディスプレイ(JDI)は、「第27回 3D&バーチャルリアリティ展(2019年2月6日〜8日、東京ビッグサイト)」で、企業ユーザー向けVR(仮想現実)ヘッドマウントディスプレイ「VRM-100」を紹介した。同社は高画質なVRコンテンツの体験と開発を可能とした製品づくりと戦略的な価格設定でVR市場に攻勢をかけている。
ジャパンディスプレイ(JDI)は、「第27回 3D&バーチャルリアリティ展(2019年2月6日〜8日、東京ビッグサイト)」で、企業ユーザー向けVR(仮想現実)ヘッドマウントディスプレイ「VRM-100」を紹介した。同社は高画質なVRコンテンツの体験と開発を可能とした製品づくりと戦略的な価格設定でVR市場に攻勢をかけている。
VRM-100はJDIが2018年12月から販売を開始した製品で、現時点では日本国内の企業開発者を対象に提供されている。ディスプレイメーカーである同社の強みを生かした高画質の実現に加えて、VRコンテンツの開発を容易に行える利便性の高さを特徴とする。同製品のキャッチコピー「VRはかくも美しい。」を体現した製品となった。
画質の要となるディスプレイは、解像度2880×RGB×1600(615ppi)、コントラスト比700:1、応答速度5ミリ秒の3.5型低温ポリシリコン(LTPS)TFT液晶ディスプレイを2枚搭載する。このディスプレイについて、同社担当者は「RGBストライプ方式のサブピクセル配列を採用しているため、主要なVRヘッドマウントディスプレイが用いるペンタイル配列の有機ELディスプレイと比較して、網目感が気になりにくい。寿命も有機ELと比較して長い」と長所を説明する。リフレッシュレートは80Hzと60Hzの自動切り替えとなる。
ジャイロセンサーと地磁気センサーを搭載し、3DoF(自由度)に対応する。モニターユニットとゴーグルは分離できるため、利用シーンに応じてゴーグルの形状やスピーカー付きゴーグルへの変更も可能だ。また、ビジネス利用をにらみ、ゴーグルを常に清潔な状態に保てるようにアルコール除菌シートや水洗いに対応する構造とした。開発環境としてUnity用OpenVRドライバーが利用できるため、コンテンツの新規開発や既存コンテンツの移植を容易にした。
VRM-100の提供価格は4万9800円(税別)と戦略的な価格設定とした。「VR分野に明るい人からは『随分と頑張ったね』といわれるような値付けとした。VRM-100は高画質をウリとしつつ、競合他社の同等クラス製品から半額に近い価格で提供する」(同社担当者)。
同社ブースでは日本酒の獺祭で有名な蔵元「旭酒造」の内部見学や3DCADモデル、風景など複数のVRコンテンツを体験できた。3DCADモデルのデモでは、高い映像品質でモデルを俯瞰(ふかん)しつつ、「これまで難しかった寸法など図面情報も同時に読み取ることができる」ことを訴求していた。
今後の展開としては「800〜1000ppiクラスのディスプレイ搭載を他社に先駆けてやっていきたい」とし、ディスプレイのさらなる高精細化に自信を見せた。また、「現状ではプロ向けのみの製品展開だが、コンシューマー向けの製品に挑戦するかもしれない」とB2C向けVR市場への参入をほのめかせた。
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