CASEなど新潮流で電気、ソフトウェア、制御などのエンジニア求人が活況な自動車業界。ではこれまで自動車業界の中心的存在であった機械系技術者の採用はどうなのだろうか。転職コンサルタントに聞いた。
自動車業界の求人は、昨今、「CASE」(Connected、Autonomous、Shared、Electric)への対応が急務であることから、電気、ソフトウェア、制御などのエンジニアに話題が集まっている。では、これまで自動車業界の中心的存在であった機械系技術者の採用はどういう状況なのだろうか。自動車業界専門転職サイト「オートモーティブ・ジョブズ」を展開するクイックの人材紹介事業本部 自動車チーム マネージャーの関寺庸平氏に聞いた。
自動車業界における機械系技術者の求人状況はどうなのだろうか。結論から言うと、業界全体の採用数の増加に伴い、機械系技術者の採用も順調に増えている。クイックのデータによると、2013年から2017年で2.4倍。昨今、自動車業界全体が好調なこともあり、ここ数年で特に増えているという。
では自動運転や電気自動車などの流れの中で、機械系技術者にはどのようなスキルが求められているのだろうか。
まずメーカーの場合。メーカーにおける設計業務は、自ら詳細な設計を行うというより、完成車として取りまとめていくような業務が多く、開発プロジェクトをマネジメントしていく役割として、機械系技術者を配置する傾向は依然として強い。そのため、設計開発の技術だけではなく、マネジメントのスキルやグローバリゼーションへの対応、またコストや生産、品質などの知見もある程度持っている機械系技術者は、市場価値が高くなる。最近は、ソフトウェアの技術を持っている機械系技術者も増えているという。
自動車業界の経験はなくても、コンシューマ製品の開発プロジェクトでマネジメント経験がある機械系技術者にも可能性がある一方で、生産、品質、調達など社内の他部門、社外のサプライヤなどとやりとりし、バランスを考えながら進めなければならないことから、コミュニケーション能力はこれまで以上に重要視される傾向にある。
上流の仕事ではなく設計をバリバリやっていきたい、あるいはコアになる技術に直接携わりたいという方には、完成車の中に入る機器を開発、製造しているサプライヤの方が適しているかもしれない。動力源としての電池や、小さなPCと言えるようなコントロールユニット、精密な機構部品などと車載機器が変化する中で、従来とは異なる機械設計の技術も求められており、車載機器以外の分野で、これからの自動車に必要な要素技術を経験している方にも門戸は広く開かれている。
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