「サービス」部門では、家庭環境を想定した「パートナーロボットチャレンジ」と、コンビニ業務をテーマにした「フューチャーコンビニエンスストアチャレンジ」が実施された。こちらについても、各競技の概要については、過去記事の方を参照して欲しい。
⇒ロボット活用で未来の家庭やコンビニはどうなる〜WRS2018サービス/ジュニア部門
パートナーロボットチャレンジは、子供部屋、リビング、ダイニングキッチンを模したフィールドで実施。散らかっているものを片付けたり、指示されたものを取ってきたりといったタスクに取り組んだ。なお、ロボットはトヨタの「HSR」が使われており、各チームの違いはソフトウェアのみとなる。
1位となったのは、RoboCup@ホームリーグでも優勝の常連校である「Hibikino-Musashi@Home」チーム(九州工業大学)だ。多くのチームが苦労する中、このチームは子供部屋のドアも冷蔵庫のドアも難なく開け、片付けも着実にこなして高得点をゲットしていた。
決勝戦のデモ競技もテーマがユニークだった。「アレを持って来て」と言われたときの「アレ」が何かは、人間でも判断が難しい。同チームは、将来はそういう能力もロボットに必要と考え、誰が、いつ、どこで欲しがっているのかという情報を元に推測するデモを行っていた。
ちなみにWRS2018とちょうど同時期に、幕張メッセでは「CEATEC JAPAN 2018」が開催されており、Preferred Networks(PFN)から衝撃的な「全自動お片付けロボットシステム」が出展されていた。同型のロボットを使っていたことから、筆者を始め、WRS2018のチャレンジと比較した人が多かっただろう。
ただ、PFNの技術が素晴らしいのは間違いないものの、WRS2018の競技とは条件がかなり異なるため、単純に比較することはできない。これについては、競技委員長の岡田浩之氏がFacebookで解説しているので、興味があれば参照して欲しい(おそらくウンザリするほど同じ質問をされたのだろう……)。
一方、フューチャーコンビニエンスストアチャレンジでは、「陳列・廃棄タスク」「接客タスク」「トイレ清掃タスク」という3つの競技を実施。筆者はその中でも、テーマ設定が面白いトイレ清掃タスクに注目していたのだが、ここで1位となったのは「TCR」チーム(コネクテッドロボティクス/東京農工大学)だ。
普通に考えると、何か移動ロボットがトイレまで来て、掃除を始めることになるだろうが、このチームは部屋自体をロボット化する方法を提案。開発したのは、X軸、Y軸、Z軸方向に自由に移動できる直交座標型ロボットで、掃除の時だけ出てきて、それ以外のときは壁の中に戻るような使い方を想定していた。これなら邪魔にもならない。
上から降りてくるアームの先端には、ブラシと掃除機を装着。ごみはブラシで掃き出し、模擬尿は掃除機で吸い取っていた。今回のタスクでは対象外だったものの、この構造ならば、便器の内側の清掃にも対応しやすいというメリットもある。
また2位の「TAK」チーム(首都大学東京/工学院大学/産総研)も面白かった。同チームは、オリジナルの便器を用意。この便器は床から浮いており、壁の下から長い床掃除ロボットが出てきて、1往復だけであっという間に掃除を終わらせていた。便器のフチの汚れは、蓋の下側に内蔵した清掃機構できれいにする仕組みだ。
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