ホンダは2018年12月12日、消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2019」の出展概要を発表した。ロボティクスや自動車、エネルギーなどさまざまな分野を対象に、開発中の製品や事業化を目指すサービスを紹介し、パートナーとなる企業との出会いを増やす狙いだ。
ホンダは2018年12月11日、消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2019」の出展概要を発表した。ロボティクスや自動車、エネルギーという重点領域と位置付ける分野を対象に、開発中の製品や事業化を目指すサービスを同展示会で紹介し、パートナーとなる企業との出会いを増やす狙いだ。
初披露となるのは、ロボティクスを活用したソリューションの開発を容易にするソフトウェアプラットフォームのコンセプト「RaaS(※) Platform」、周囲の状況を認識して人や障害物を避けながら最適ルートで目的地まで移動するAI搭載ロボット「P.A.T.H. Bot」、電力の需給バランスに合わせて車両の駆動用バッテリーから非接触で送電する「Wireless Vehicle-to-Grid」だ。
(※)RaaS=Robot as a service
RaaS Platformは、さまざまなロボティクスデバイスやシステムを連携させ、シームレスなサービスを提供するためのソフトウェアプラットフォームだ。データの蓄積や共有、通信の制御、ロボット同士の連携といった機能を、ロボット開発者やプロバイダー、オペレーターなどにパッケージで使ってもらうイメージだ。シームレスなロボティクスサービスを実現する基盤を目指し、共同開発のパートナーを募る。
P.A.T.H. Botは、周囲の人に不安を与えず、人が行き交う公共空間をスムーズに移動する機能を搭載したロボットだ。高さは1050mm、重量21.5kgで、最高速度は時速6kmとなっている。
「ASIMO」「UNI-CUB」など既存のロボットの技術を活用し、倒れずにバランスを取りながら移動する。道案内など、さまざまな用途への活用に向け、公共空間向けの移動型ロボットの可能性をホンダとともに探索する実証実験のパートナーを探しているという。
Wireless Vehicle-to-Gridは、ベンチャー企業のWiTricityと共同開発した、電気自動車(EV)のワイヤレス充電技術がベースとなっている。EVやプラグインハイブリッド車の駆動用バッテリーと電力系統をワイヤレスでつなぎ、地域の電力需給や、供給が不安定な再生可能エネルギーに合わせて送電できるようにする。実用化に向けて、電力会社などエネルギー関連企業との連携を目指す。
これらに加えて、ホンダが推進するオープンイノベーションの相手先であるスタートアップ企業の技術も初めて出展する。1つは、米国のPerceptive Automataが開発する画像認識技術で、車載カメラの映像から歩行者や自転車、他のドライバーの心理状態を推定するというもの。歩行者やドライバーなどの次の行動を予測するソフトウェアを開発し、安全でスムーズな自動運転技術につなげる。
もう1つは独自開発の指向性スピーカーによって、ドライバーにクルマの周囲の状況を音で知らせるイスラエルのNovetoの技術だ。見えにくい方向や位置にいる車両、歩行者の存在を音で知らせることで、安全運転を支援する。
さらに、2017年や2018年のCESで発表したコンセプトについて、実用化に向けた進捗(しんちょく)も2019年のCESで紹介する。取り組みの進展をアピールすることで、開発や実証実験に参加する企業を募る。
2018年に発表した車台型のロボットは、出展をきっかけに実証実験がスタート。電動で自律移動できる特徴を生かし、大規模太陽光発電所での除草や農場のモニタリング作業、消防隊の機材搬送や山火事など危険な場所への偵察や通信サポートに使われている。また、車車間、路車間通信技術や、車載情報機器を使った決済や予約に関しても、商用化に向けた企業や自治体の参画を呼び掛ける。
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