俺の相棒はロボット? 関西国際空港で自動清掃ロボット大戦がはじまる楽しい大好きスタートアップ代表が見たロボット業界(1/2 ページ)

ロボット派遣・就職・教育サービスを手掛け、これまでロボットと共に5千人以上を接客した経験を持つ田中智崇氏が、関西国際空港で本格運用が始まった最新型自動清掃ロボットをレポートする。

» 2018年10月30日 15時00分 公開

 ロボット派遣・就職・教育サービスを手掛け、これまでロボットと共に5千人以上を接客した経験を持つ田中智崇氏が、関西国際空港で本格運用が始まった最新型自動清掃ロボットをレポートする。

関西国際空港に導入された2種類のロボット

 関西国際空港は、1994年に世界初の「全てが人工島からなる海上空港」として開港し、旅客・航空貨物の両方においても日本初の24時間運用を行った空港でもある。国内空港の中で先駆けを担ってきた本空港で、2018年10月15日より2台の自動清掃ロボットの運用が開始された。国内空港では初めての本格運用である。

 導入されたロボットは、技術商社のマクニカが導入を手掛けたAvidbots(アヴィドボッツ:本社はカナダ オンタリオ州キッチナー)製の自動清掃ロボット「Neo(ネオ)」と、シーバイエスの「TASKI swingobot(スウィンゴボット)2000」である。

写真左が「TASKI swingobot2000」。写真右が「Neo」

 この両者は、6台の自動清掃ロボットが参加した半年間の運用実験を経て生き残った2台であり、安全性と清掃品質の高さ、そして、稼働時間の長さが評価されたことで本格運用に選ばれた。本稿では「Neo」と「swingobot2000」の特徴を述べるにとどまらず、人とロボットによる清掃作業の未来予想図についても筆者の考察を述べていく。

圧倒的な清掃スピードの「Neo」

 この2台のロボットは、水を出して・拭いて・汚れを吸い上げる、フロアの自動清掃に特化したロボットであり、おのおのいくつかの特徴がある。「Neo」の特徴は「とにかく速い!」だ。仕様上の速度は秒速1.26mであるが、体感はそれよりも速く感じた。約5時間の連続稼働が可能であり、長時間で広範囲の自動清掃が可能である。

「Neo」の全体像

 2つ目の特徴は、自動清掃中のモニタリングと自動清掃後のクリーニングレポートである。モニタリングでは、スマホやPCを通じて、現在の清掃状況を動画で確認することが可能だ。本体後方下部に搭載したカメラが清掃後の床の映像を撮影しているため、自動清掃の仕上がり具合をリアルタイム動画で確認することが可能だ。クリーニングレポートでは、自動清掃したエリアと清掃できなかったエリアを地図上で確認できる。マニュアルモードで人が「Neo」を操作して清掃することも可能なので、未清掃エリアのみをマニュアルモードで人が清掃するような「人とロボットとの清掃の役割分担」が可能である。

 本体は500kg近い重量があるため、操作に力が必要のように思えたが、実際に、筆者がマニュアルモードを体験してみたところ、電動アシスト機能が付いているため、ショッピングカートを押しているような感覚で操作が可能であった。女性や年配の清掃スタッフでも操作は問題なさそうである。

マニュアルモードでの操作

 また、障害物を検知するための仕組みとしては、前後の下部に搭載した「LiDAR(ライダー)」が360度をカバーしており、30m手前にある障害物までを検知できるようになっている。障害物を検知すると5m手前で徐行運転を開始し、1m手前で止まるようになっている。万が一、障害物にぶつかった場合は最下部に飛び出しているバンパーセンサーが検知し、即座に緊急停止をする仕様となっている。そのため、人が急に飛び出してきた場合でも問題はなさそうである。なお、「Neo」は、パリ=シャルル・ド・ゴールでの運用実績もある。

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