AIで製造工程の作業スピード計測と分析を自動化製造マネジメントニュース

ABEJAシンガポールは、デンソーのオーストラリア・アジア地域の統括拠点であるデンソー・インターナショナル・アジアが保有する工場の業務効率化に向け、2018年内に協業を開始する。

» 2018年12月07日 09時00分 公開
[MONOist]

 ABEJAは2018年11月19日、ABEJAシンガポールがタイにおいて、デンソーのグループ会社であるデンソー・インターナショナル・アジア(DIAT)が保有する工場の業務効率化に向け、同年内に協業を開始すると発表した。DIATは、デンソーのオーストラリアとアジア地域の統括拠点でもある。

 今回の協業は、これまでDIATが進めてきた各製造工程の作業スピードの計測、分析をディープラーニングなどのAI(人工知能)技術を活用して自動化し、より正確に実施するためのもの。協業で得られた分析結果を基に、作業スピードの差や作業手順の違いを明らかにして製造作業を可視化し、工場全体のオペレーションの最適化を目指す。

 協業に先駆けて、同年4月〜8月の約5カ月間にわたって実施した共同実証では、タイ東部にあるデンソー・タイランドの工場内で作業の様子を撮影。ディープラーニングを活用して、この映像データから作業者の姿勢の差を算出した。姿勢が一致したタイミングを新たな作業の開始時点とし、作業のサイクルを定義した。

 これにより、1サイクル当たりの作業時間の分析が可能になった。また、従来の姿勢認識に加え、姿勢の連続性を利用して作業映像から特定作業を分析。サイクル内の特定作業当たりの時間を高精度に推定することに成功した。

 この実証の結果、目視で行う作業分析と同程度の精度を持つ学習済みモデルが構築できた。撮影データから教師データを作る工程では、映像データの特定シーンに対してラベル付けをするABEJAの「動画アノテーション」ツールを採用し、両社で精度の高い学習済みモデルの構築に取り組んだ。

 今後両社は、工場内で実運用するため、共同実証で構築した学習済みモデルの精度を向上させる。さらに、共同実証で確立した手法の適用範囲を拡大し、デンソーグループのアジア全域を中心としたグローバルな製造現場への導入を目指すとしている。

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