特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

WRS2018ものづくり部門レポート〜絶食のドラえもんを救うチームは現れたのか?World Robot Summit徹底解剖(4)(2/5 ページ)

» 2018年11月12日 10時00分 公開
[大塚実MONOist]

0点が続出のキッティングタスク

 2日目に行われたのは「キッティング」タスク。これは、ベルトドライブユニットを組み立てるための準備作業になっており、コンテナの中から必要な部品を必要な個数だけ取り出し、トレイに並べるのが課題だ。

コンテナの置き方はチームごとに違う コンテナの置き方はチームごとに違う。ここにも戦略がある(クリックで拡大) 出典:World Robot Summit

 初日から苦労していたチームが多かったが、2日目はさらなる難関となった。1回目はまともに動くチームが少なく、半数以上が0点という惨憺たる結果に。2回目は各チームとも得点が上がったものの、それでも米国の「Robotic Materials」チームの20点が最高得点だった。ちなみにこのタスクの配点は150点だ。

治具に部品を置いて向きをそろえる工夫も Robotic Materialsは、治具に部品を置いて向きをそろえる工夫も(クリックで拡大) 出典:World Robot Summit

 このタスクの作業内容自体は、子供でも簡単にできるようなことだ。しかし、これがロボットにはなかなか難しい。

 まず、部品が全てコンテナにバラ積みされているので、認識するのが難しい。コンテナの位置はマーカーを貼るなどして把握することは可能だが、中にある部品は重なり合っていて、向きもバラバラ。しかも金属部品は光沢があるので、コンテナの色が映り込んだり、外光が反射したりしてしまう。画像認識への優しい配慮は一切無しだ。

 うまく1つ1つの部品を認識した上で、さらに1つだけ取り出すのがまた難しい。なかなか1回では成功しないので、どのようにリトライするか、行動計画も重要になる。Robotic Materialsは、部品の位置が良くない場合に、コンテナを揺さぶるという人間くさい工夫をしていたのがアイデアとしては面白かった。

認識をうまくやらないと、部品を幾つもつかんでしまう 認識をうまくやらないと、部品を幾つもつかんでしまう(クリックで拡大) 出典:World Robot Summit

 ただ、全体的に得点が低かったのは、競技の配点方式によるところが大きい。トレイは3セットあり、それぞれ50点なのだが、内訳は1点×10部品+完了時ボーナス40点と、ボーナスの比率が極端に高い。それを考えると、Robotic Materialsの20点というのは、決して悪い点数では無いように思う。

(映像の4時間41分59秒から)日本の「O2AS」チームはエアーも使い、13点を獲得して3位に入った(クリックで再生)

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