NECはユーザーイベント「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2018」において、NEC内の工場での自社実践拡大を紹介。これらで磨いた技術により、スマートファクトリーコンセプト「NEC DX Factory」の進化を訴えた。
NECはユーザーイベント「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2018」(東京国際フォーラム、2018年11月8〜9日)において、NEC内の工場での自社実践拡大を紹介。これらで磨いた技術により、スマートファクトリーコンセプト「NEC DX Factory」の進化を訴えた。
NECでは2018年6月にスマートファクトリーのコンセプト「NEC DX Factory」を発表。工場をバーチャル環境で再現し、ライン全体をシミュレーションする「デジタルツイン」の世界を描いた。工場における現実世界のデータをサイバー空間で蓄積し、コンピューティングパワーを生かして分析し、その結果を現実世界に戻す「サイバーフィジカルシステム(CPS)」の姿の実現を目指す。玉川事業所内にはこれらのコンセプトを再現する「NEC DX Factory共創スペース」なども用意している※)。
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「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2018」では、この「NEC DX Factory共創スペース」などで紹介しているデモラインを出展した。同デモラインでは、プリント基板の物体指紋を認証する「個体識別情報管理ソリューション」、人の作業をプロジェクションマッピングで指示する「人作業ナビゲーション」、AIを活用して負担なく不具合品を発見できる「AI Visual Inspection」など、NECの技術や他社の技術を組み合わせて製造現場での最新技術の活用方法を訴求する。
今回は新たに、AIの適用を拡大。ロボットがトレイにワークを載せる際の位置ずれを検知する、品質の自動検査を想定した仕組みを新たに構築したことを紹介した。
NEC ものづくりソリューション本部 兼 サプライチェーン統括本部 技術主幹の北野芳直氏は「品質の自動検査のニーズは非常に高い。実際の生産ラインでどのように実現すればよいのかを表現した」と述べている。新たに導入をしやすいようにソリューション活用の道筋をシナリオ化したソリューションシナリオなども用意し、先進技術の導入を推進する方針である。
これらの「NEC DX Factory」でのデモに加え、製造関連情報を一元管理する「NEC Industrial IoT Platform」による価値と、NEC自社工場での実践の成果などを説明。NECプラットフォームズ白石事業所でのプラスチック成形工程での品質改善への取り組みや、同福島事業所での混流ラインの生産順序最適化について紹介している。
白石事業所では、プラスチック成形における各種生産情報と品質情報を「NEC Industrial IoT Platform」に集め、さらに各業種や用途に合わせてテンプレートが用意されている分析プラットフォーム「NEC Advanced Analytics Platform」を活用した。これにより良品率を高めることができたとする。
一方の福島事業所では、多品種少量生産であることから生産ラインの混流化を進めているが、この生産準備の効率化が難しいという状況がある。これを「NEC Industrial IoT Platform」に集めたデータと各生産工程のデータや部品データなどを組み合わせることで最適な生産順序を構築できるというものだ。「実際に活用したことで生産性は10%向上した」と述べている。
NECはITソリューション企業でもある一方で製造業でもあるが、製造業向けのソリューションでは自社実践への取り組みを拡大。個々の事業所での導入の成果を水平展開するなど、導入の幅を広げていることが特徴だ。北野氏は「まずは自社の製造現場で磨いて実践的に使える形に磨き上げていき、ソリューションとしての製品力を強めていく。そのための自社実践については取り組みを広げている。NEC内でもさまざまな製造現場があり、さらに中国やタイなど海外工場などもある。これらを強みとして、製造現場に役立つソリューションの形を作り上げていきたい」と述べていた。
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