自動化進む食料品製造業、労働災害は製造業全体の約3割を占める工場安全(2/2 ページ)

» 2018年10月15日 11時00分 公開
[長町基MONOist]
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食料加工用機械における法改正

 続いて、2013年10月1日に施行された食料加工用機械に関する規制の改正「労働安全衛生規則」について紹介した。

 人手不足などが進む中で、自動化を求めるニーズが高まり、食料加工用機械の導入が拡大している。しかし一方で、食料加工用機械による休業4日以上の死傷災害は年間2000件近く発生している(飲食店、スーパーマーケットでの発生件数も含める)。この数はプレス機械(約500件)、工作機械(600件)、木材加工用機械(約1200件)など他の産業用の機械による災害と比べても多い。また、このうち障害を伴う切断や挫滅の割合が4分の1を占めるなど障害の程度も重いものが多数含まれている。

 その原因として考えられる一因が食料加工用機械の構造上の問題だとする考えがある。食料加工用機械は可動部が作業の手に届く範囲にある他、開口部が広く転落する恐れがあるものが多いことから、災害を生むケースが多いというものだ。

 従来、食料加工用機械には、作業に応じた規制がなかった。そこで安全性を確保するために、機械の危険な部分へのカバーの設置や送給時や取り出し時の用具の仕様などを義務付ける動きが進んだ。そのために施行されたのが改正「労働安全衛生規則」である。切断機や切削機による切断、切削の危険の防止について、機械の危険な部分にカバーなどを設置すること、さらに、原材料の送給や取り出し時には原則として機械の運転を停止し用具などを使用することなどの点が改正された。

 例えば、食品加工用切断機や食品加工用切断機では「スライサー、チョップカッター、バンドソーなどの刃部により、食品の原材料の切断または切削を行う機械」と定義。覆いや囲いについては可動式ガードも含まれ「覆い・囲いを取り外し、または開放している間は、機械を起動できないよう、インターロック機構を設けることが望ましい」などが通達されている(13号通達)。これらの法改正により、少しでも食料加工用機械の安全性を高め、事故件数を減らしたい考えである。

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