自動化進む食料品製造業、労働災害は製造業全体の約3割を占める:工場安全(2/2 ページ)
続いて、2013年10月1日に施行された食料加工用機械に関する規制の改正「労働安全衛生規則」について紹介した。
人手不足などが進む中で、自動化を求めるニーズが高まり、食料加工用機械の導入が拡大している。しかし一方で、食料加工用機械による休業4日以上の死傷災害は年間2000件近く発生している(飲食店、スーパーマーケットでの発生件数も含める)。この数はプレス機械(約500件)、工作機械(600件)、木材加工用機械(約1200件)など他の産業用の機械による災害と比べても多い。また、このうち障害を伴う切断や挫滅の割合が4分の1を占めるなど障害の程度も重いものが多数含まれている。
その原因として考えられる一因が食料加工用機械の構造上の問題だとする考えがある。食料加工用機械は可動部が作業の手に届く範囲にある他、開口部が広く転落する恐れがあるものが多いことから、災害を生むケースが多いというものだ。
従来、食料加工用機械には、作業に応じた規制がなかった。そこで安全性を確保するために、機械の危険な部分へのカバーの設置や送給時や取り出し時の用具の仕様などを義務付ける動きが進んだ。そのために施行されたのが改正「労働安全衛生規則」である。切断機や切削機による切断、切削の危険の防止について、機械の危険な部分にカバーなどを設置すること、さらに、原材料の送給や取り出し時には原則として機械の運転を停止し用具などを使用することなどの点が改正された。
例えば、食品加工用切断機や食品加工用切断機では「スライサー、チョップカッター、バンドソーなどの刃部により、食品の原材料の切断または切削を行う機械」と定義。覆いや囲いについては可動式ガードも含まれ「覆い・囲いを取り外し、または開放している間は、機械を起動できないよう、インターロック機構を設けることが望ましい」などが通達されている(13号通達)。これらの法改正により、少しでも食料加工用機械の安全性を高め、事故件数を減らしたい考えである。
- 世界に羽ばたく日本発の安全資格「セーフティアセッサ資格認証制度」とは?
注意を払っていても発生する事故――。製造業にとって工場やそこで使用する機械の安全性は避けては通れない大きなテーマである。こうした事故を防ぎ「安全な機械」を設計する日本発の資格制度が「セーフティアセッサ資格認証制度」である。本稿では、セーフティアセッサ資格制度の概要について紹介する。
- “千手観音”に必要なのは「新たな安全」
コネクタメーカーであるハーティングは日本進出30周年を記念し都内で「インダストリー4.0セミナー」を開催。メイン講演の1つに登壇した日本電気制御機器工業会 副会長の藤田俊弘氏(IDEC)は、変種変量生産を求められる状況でのモノづくりの新たな進化とともに、それによって変わる「安全」の価値について述べた。
- マルヤナギが“シンの”トヨタ生産方式で維持する高い品質と鮮度管理のヒミツ
トヨタ生産方式の達人・鈴村尚久氏による連載コラム「鈴村道場」。前回に引き続き、“シンの”トヨタ生産方式の実践事例を紹介する。創業から66年の歴史を重ねる、マルヤナギ小倉屋では、約10年間で定着させた“シンの”トヨタ生産方式により、高い品質と鮮度管理を維持しているという。
- 安全率が、非常に低い――航空機
飛行機の安全率は、とても低いことをご存じ? その分は、メンテナンスやシステムでカバーしている。追い込んだ設計が肝心となる航空機設計の事情
- あらためて「ISO26262」の全体像を把握しておこう
自動車分野向けの機能安全規格「ISO26262」。本稿では、正式発行を控え、日本の自動車業界でも対応作業が本格化し始めているこのISO26262の概要・全体像についてあらためて説明する。
- 製造業が生み出す地方創生、地域中小企業が取り組むIoT革新
IVIは、2017年度の取り組みの進捗状況と2018年度の方向性について紹介する「IVI公開シンポジウム2018-Spring-」を開催した。本稿ではIVIが取り組んできた地方製造業振興に向けた取り組みを紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.