シュナイダーエレクトリックは産業機械のIoT化を支援するマシンソリューション事業を強化。世界各地に実証施設「マシンソリューションラボ」などを設置し、機械メーカーとの共創やノウハウの蓄積などに取り組んでいる。マシンソリューション事業のヘッドクォーターが設置されているドイツのマルクトハイデンフェルドにある同社最大のマシンソリューションラボを訪ねた。
スマート工場やスマート倉庫など、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などを活用した生産性革新への取り組みが進んでいるが、これらを実現するためには、これらの環境で使用される産業機械のIoT化やスマート化が必要になる。
しかし、IoT化を実現するには、ネットワークやデータ処理、周辺のシステムとの連携など機械メーカー単独で実現するのが難しい領域も多い。そこでこれらの“IoT化”に関する領域を丸ごと支援する取り組みを進めているのがフランスのSchneider Electric(シュナイダーエレクトリック)だ。
シュナイダーエレクトリックは産業用IoTへの取り組みを強化しており、業界別に取りまとめた産業用IoT基盤「EcoStruxure(エコストラクチャ)」などを用意。その重点領域の1つとして産業機械を対象としたマシンソリューション事業を展開している※)。
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マシンソリューション事業は、産業機械メーカーがIoTを活用したサービスなどを容易に実現できるようにする支援を行う事業だ。シュナイダーエレクトリックが持つ制御やセンサーなどの製品群や、アーキテクチャ、サービス、専門家の知見などを組み合わせて提案を行う。
その中でもターゲットを絞り込んでおり、それぞれの領域での専門性を高めていることが特徴だ。グローバルでは「包装機」「飲料、食料系機械」「農業機械」「素材搬送機器」「材料加工機」「半導体、エレクトロニクス関係」「巻上機」「ポンプ」「HVAC」「冷凍機」など10領域を対象としている。
シュナイダーエレクトリックでは、これらの産業機械のIoT化をシンプル化するために、大きなアーキテクチャとして産業用IoT基盤「EcoStruxure」がある他、設計なども支援する仕組みを用意する。
その1つが、動作検証済み、評価済み、文書化済みの機器やソフトウェアなどでテンプレート化した機械構成である「TVDA(Tested Validated Documented Architecture、動作検証済み、評価済み、文書化済みのアーキテクチャ)」である。機械を構成する機能ごとに実証済みの仕組みでテンプレート化しており、これらを組み合わせることで機械設計の短縮化が図れる。また、全て実証済み、文書化済みなどの機械や設計であるので、独自で開発する領域と組み合わせて設計することなども容易だ。
一方、機能面での開発でも「PLCopen」や「Pack ML」などの国際標準としてのファンクションブロックだけでなく、周辺領域も含めたアプリケーションとしてのファンクションブロック「AFB(Application Function Block)」を用意しており、開発の早期化を実現できる。これらの機能開発や顧客との共創を実現する専門の技術者も「アプリケーションデザインエキスパート(ADE)」「システム&アーキテクチャエキスパート(SAE)」「プロダクトアプリケーションエキスパート(PAE)」「プロダクトマネジャー(PM)」の4つに分けて認定し、31カ国で400人以上の技術者が活動を続けている。
これらを組み合わせて提案を行うわけだが、顧客となる産業機械メーカーがシュナイダーエレクトリックのソリューションを採用するまでには“共創”や共同検証などのフェーズなどが発生する。そのために、同社が用意するのが「マシンソリューションラボ」である。マシンソリューション事業のヘッドクォーターが設置されている、ドイツのマルクトハイデンフェルド(Marktheidenfeld)拠点にある、同社最大の「マシンソリューションラボ」の様子を紹介する。
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