ロボット派遣・就職・教育サービスを手掛け、これまでロボットとともに5000人以上を接客した経験を持つ田中智崇氏がデリバリーサービスロボット「Relay(リレイ)」について紹介する。
ロボット派遣・就職・教育サービスを手掛け、これまでロボットとともに5000人以上を接客した経験を持つ田中智崇氏がデリバリーサービスロボット「Relay(リレイ)」について紹介する。
クリエイティブワーカーの聖地として新たな次代の流れを生み出し続け、継続的なエンターテインメントシティー渋谷であり続けること――JR渋谷駅前に2018年9月13日に誕生した「渋谷ストリーム」は、この2つの役割を担うことが期待される、商業施設・オフィス・イベントホール・ホテルなどからなる複合施設である。
この施設内にある渋谷ストリームエクセルホテル東急は、「渋谷から世界へ 感性を刺激するホテル〜THE SHIBUYA SENSIBILITY〜」をコンセプトとしたホテルである。このたび同ホテルに、Savioke(サビオーク)(本社:米国カリフォルニア州サンノゼ)のデリバリーサービスロボットの「Relay」が導入されたので取材に伺った。コンセプト通り、感性を刺激されるかが非常に楽しみである。
なお、本稿ではRelayの機能面にとどまらず、サービスロボットの活用方法についても筆者の経験を基に述べていく。
Relayは、自律走行デリバリーという明確な役割を担うロボットである。PC・タブレット・スマホのWebブラウザからRelayの運用管理画面を操作し、客室の部屋番号を指定する。ただそれだけで、客室まで品物をデリバリーしてくれるのだ。
届ける品物は、本体上部のハッチを開けて中の空洞部分に配置する。空洞はある程度の深さがあり、最大4.5kgまでの重さに耐えられる。そのため、歯ブラシなどのアメニティーや小さめの枕、ルームサービスの食事など、多種多様なデリバリーが可能である。チェックイン時の手荷物など大き目の荷物を運ぶことは難しそうであるが、これをロボットの仕事としてしまうと接客による“おもてなし”が薄れる可能性があるので、これで良いと筆者は考える。
またRelayはWi-Fiを経由してエレベーターを操作することが可能だ。自分でエレベーターを呼び出し、指定フロアまで移動することができるのである。デザインも考えられており、閉所であるエレベーター内で人に圧迫感を与えないように工夫されているのだが、詳細は後ほど。
人とロボットが同じ空間で働くために必要不可欠となるのが安全面である。筆者がロボットサービスを手掛けていた中で顧客が一番懸念をいだくのがここだ。
理論上は安全でも顧客はロボットと一緒に仕事をした経験がないため安心出来ないのだ。安心して利用してもらうためにはセンサーの死角を減らす必要がある。この死角をなくすためにRelayは障害物を検知する異なる仕組みを前方の3カ所に備えている。前方上部のタブレットの下に搭載されたカメラ、前方下部に搭載されたLiDAR(ライダー)とソナーにより、近距離と中距離、平面と3次元を感知し、人や障害物を避けながらの安全な自律走行を可能としている。ためしに、筆者が前方と左右からRelayの前に急に飛び出して止まるかどうかを確認してみたところ、ピタッと止まった。また、1mぐらい前に立ってみたところ、減速後に反転し、走行経路を変えた。安全面は問題なさそうである。
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