それでは、実際に中小企業においてITの導入・利用を進めようとする際に、どのような点が課題になってくるのだろうか。回答比率の高い順に見ると、「コストが負担できない」「導入の効果が分からない、評価できない」が約3割と高く、次いで「従業員がITを使いこなせない」が約2割と続く(図8)。以上のことから、費用対効果と人材面の2点が主な課題であることが分かる。
IT導入の3類型別に見ると、この傾向はIT導入が効果を上げているトップ層でも、IT導入が進んでいないボトム層でも大きくは変わらない。ただ、ボトム層では比率が高いことが分かる(図9)。一方で「個人情報漏えいのおそれがある」と「技術、ノウハウの流出のおそれがある」は、ボトム層よりもトップ層の方が課題として挙げていることから、IT導入が進むにつれて顕在化する課題と推察できる。
ここで最大の課題がコスト負担であることを踏まえると、今後の中小企業におけるIT導入においては、初期導入コストの低さなどが鍵になってくると思われる。中小企業白書2018ではこの点をクリアする解決策としてクラウドサービスの活用を挙げており、その利点として初期導入コストの低さを含め、下記の4点を挙げている。
これらの利点を挙げたうえで、中小企業白書2018ではコスト負担以外に技術者の駐在が不要になる点も大きいとしている。その根拠として、今後はIT人材の不足数の拡大が予想されており(図10)、それに伴ってIT業界や大企業にIT技術者が流れ込む可能性が高いとするならば、非IT系の中小企業がITの開発や運用管理を行うIT技術者を確保することがより一層困難になることが挙げられている。
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