トレジャーデータを得たArm、「ペリオンプラットフォーム」をIoTのゆりかごに製造マネジメントニュース

Armは、データマネジメントプラットフォームを展開するトレジャーデータを買収したと発表した。買収額は非公開。既に買収を完了しており、トレジャーデータのWebサイトにはArmのロゴが入っている。

» 2018年08月06日 07時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 Armは2018年8月2日(現地時間)、データマネジメントプラットフォームを展開するトレジャーデータ(Treasure Data)を買収したと発表した。買収額は非公開。既に買収を完了しており、トレジャーデータのWebサイトにはArmのロゴが入っている。

 トレジャーデータは、モバイル端末、ストリーミング、IoT(モノのインターネット)などによって加速度的に増大しているビッグデータを効率よく扱うデータマネジメントの技術で強みを持つベンチャー企業だ。米国シリコンバレーに本拠を置いているものの、日本人が創業者したことでも知られている※)。2011年12月の創業から約6年半で、既に300社以上の顧客を獲得している。

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 一方のArmは、プロセッサコアのIPベンダーとして知られているが、ここ数年はArmのプロセッサコア上で動作する組み込みOS「Mbed OS」や、Mbed OSと連携してIoTのデータをセキュアに収集できるクラウド「Mbed Cloud」などを中心とするIoTサービスグループを立ち上げ、事業展開を強化してきた※)

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 今回のトレジャーデータの買収によりArmは「デバイスからデータまで一貫して管理できるIoTプラットフォームを実現できる」とした。これは、既に自社ポートフォリオとして展開しているプロセッサコア、組み込みOS、クラウドに加えて、2018年6月に買収したStream TechnologiesのIoT接続管理技術と※)、収集したIoTデータを効率よく管理するトレジャーデータの技術がそろったからだ。

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 そこでArmはトレジャーデータの買収と併せて、これらの技術を1つにまとめた新たなプラットフォーム「Arm Pelion IoT Platform(以下、ペリオンIoTプラットフォーム)」も発表している。ペリオンIoTプラットフォームの機能は、IoTの「接続管理」「デバイス管理」「データ管理」の3つに大まかに分けられる。

「ペリオンIoTプラットフォーム」の機能構成イメージ 「ペリオンIoTプラットフォーム」の機能構成イメージ(クリックで拡大) 出典:Arm

 「接続管理」は、Stream Technologiesの技術がベースになっており、チップ型SIMによるセキュアな同一性認証を含む、あらゆるデバイス、地域、ユースケースに対するワイヤレス接続を標準でサポートする。「デバイス管理」は、ArmのIoTサービスグループが提供してきたソリューションであり、セキュアで一貫性のあるIoTデバイスのプロビジョニング、同一性管理とアクセス管理、あらゆるシステム設定の更新が可能だ。そして「データ管理」では、トレジャーデータのデータマネジメント技術を基にして、個々のデバイスからエンタープライズ規模のビッグデータ、サードパーティーのデータまで、信頼できるあらゆるデータをアプリケーションや使用例にかかわらず分析できる。

 ArmはペリオンIoTプラットフォームについて、140社以上のパートナー企業と協業してエコシステムを構築していく方針。その優位性については「特定のデバイスクラスに焦点を当てた業種別/用途別のIoTプラットフォームは数多くあるが、ここで共通するのが『特化型』という言葉だ。ペリオンIoTプラットフォームは、あらゆるデバイス、あらゆるデータ、あらゆるクラウドに対応する機能を備えており、トリプルAクラスのIoT体験を実現する」(Arm)としている。

 なお、Armによる買収後も、トレジャーデータの主力事業である「Customer Data Platform(CDP)」も継続される。トレジャーデータのブログでは「The Next Chapter」というエントリが追加されており、今後のArmとのコラボレーションについてトレジャーデータ CEOの芳川裕誠氏は「カスタマーデータプラットフォームを越えて」「デバイスデータプラットフォームが新しいビジネスのゆりかごとなる」「トレジャーデータは次なるフロンティアへ」などをテーマに、今後への抱負を述べている。

トレジャーデータ ブログのエントリ「The Next Chapter」 トレジャーデータ ブログのエントリ「The Next Chapter」(クリックでWebサイトへ)

 なお、ペリオンIoTプラットフォームの“ペリオン”は、ギリシャ神話の賢者ケイロンが住んでいた山のことだ。ケイロンはそこで多くの英雄や神々の子を教育し、世に送り出した。ペリオンIoTプラットフォームも、ペリオン山と同じように「新たなビジネスのゆりかご」となることを意識して命名したのかもしれない。

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