河野製作所は、縫合針を把持する際の安定性と操作性を両立し、低侵襲医療での活用も視野に入れた八角縫合針「Octacus」を開発した。把持力を保持しつつ、把持角度を45度刻みで微調整できる。
河野製作所は2018年7月5日、縫合針を把持する際の安定性と操作性を両立し、低侵襲医療での活用も視野に入れた八角縫合針「Octacus」を発表した。ジャパンファインスチール、アルモウルド、山口県産業技術センターと連携して開発し、同年夏に発売予定。各種縫合糸と接合した針付縫合糸としての提供を予定している。
内視鏡下手術などの低侵襲医療では、的確で素早い縫合をするために、持針器で縫合針を把持した際の安定性と操作性の両立が求められてきた。従来の縫合針は、把持部の断面形状が円形または四角形が一般的だ。円形であれば自由な角度で把持することができ、四角形であれば把持力を保持できるという。そのため、把持した針の安定性と把持角度の調整の両立を目指した。
トレードオフの関係にある把持力と把持角度の双方のバランスを考慮したところ、把持部の断面形状が八角形の場合に優れていることが分かった。今回開発したOctacusは、把持力を保持しつつ、把持角度を45度刻みで微調整することができる。
八角縫合針の作製のため、同様に八角形断面形状を有する高強度のステンレスワイヤの作製手法を開発。相応の強度とばね性を持ち、高強度材かつ医療機器として適した材料であること、直径の細い縫合針ゆえに八角形の断面加工の難易度が高いといった課題を産学連携によって乗り越え、約4年の開発期間を得て製品化へつなげた。
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