第29回 設計・製造ソリューション展

台湾3DプリンタメーカーXYZが日本の産業向け市場へ、「高品質、安い、速い」でDMS2018(1/2 ページ)

XYZプリンティングジャパンは「第29回 設計・製造ソリューション展(DMS2018)」(2018年6月20〜22日、東京ビッグサイト)において、同社の産業用3Dプリンタ新製品などを展示した。

» 2018年07月09日 13時00分 公開
[小林由美MONOist]

 XYZプリンティングジャパンは「第29回 設計・製造ソリューション展(DMS2018)」(2018年6月20〜22日、東京ビッグサイト)において、同社の産業用3Dプリンタ新製品などを展示した。

XYZが日本の産業向け市場に初参入

 XYZプリンティングジャパンはDMS2018年の会場で産業用3Dプリンタへ初参入したと発表し、新製品6機種を日本で初披露した。これらには2017年末より欧米のイベントにおける参考出品で先行発表していたものが含まれる。

XYZプリンティングジャパンのセールス&マーケティングシニアディレクターである宇野博氏

 XYZプリンティングジャパンは台湾の3DプリンタメーカーであるXYZprintingの日本法人である。XYZprintingは台湾のEMS大手である新金宝グループ(New Kinpo Group:NKG)傘下の企業である(関連記事:EMS大手の新金宝グループは、なぜ3Dプリンタを自社ブランドで展開するのか)。NKGはロボットや半導体、美容機器、プリンタなど幅広い分野の製品を手掛けている。

 XYZprintingは親会社がEMSで長年培ってきた技術を用いて3Dプリンタを開発してきた。EMSが母体にいるメリットとして、「確かな品質でありながら、価格競争力ある製品提供が可能であること」とXYZプリンティングジャパンのセールス&マーケティングシニアディレクターである宇野博氏は話す。これまで廉価な個人向けのデスクトップ機種で売り上げを伸ばしてきた同社だったが、今回は日本国内における産業向け3Dプリンタ市場への初参入となる。

 「市場調査のデータを見ると、かつてはストラタシス、3Dシステムズといった2強が占めていた市場が変化してきている。ここ最近は当社のような新規参入企業の名前が出てくるようになった」(宇野氏)。その背景としては、ストラタシスや3Dシステムズが所有していた3Dプリンタにおける基本技術の特許がこの数年間で次々と失効していることや、3Dプリンタの需要拡大と共に品質や価格についてもユーザーから不満が出ていることを挙げた。そのような状況の下、同社では「品質」「競争力」「ラインアップ」の3つを強みに日本市場でのポジショニングを確立していく方針だ。

イグアス 代表取締役の矢花達也氏

 今回発表した産業向け機種の国内販売については、2018年6月にIT関連機器販売のイグアスと日本における販売代理店契約を締結しており、2018年7〜9月の間で順次販売開始する予定だ。これまでも産業向け3Dプリンタの販売やサポートをしてきたイグアスであるが、「本体価格が安く、かつ品質も造形スピードも優位性があるため、これまで販売してきた産業向け機種と比較して桁が1つ以上上がる台数で売れると見ている。日本における3Dプリンタ活用はまだ限定的である。今回の製品が市場を大きく変える起爆剤となると考える」とイグアス 代表取締役の矢花達也氏は今後についての期待を語る。


産業向け6機種、毎分1cmで造形できる機種も

 Nexa3Dとの共同開発である「MfgPro220 xPF」は超高速光造形技術「Continuous LSPc」を搭載する。こちらは日本だけではなく世界初披露である。毎分(毎時ではない)10mmで高精細な造形が可能だという。一般の3Dプリンタと比較して約40倍の速さで造形できるという。入力データはボクセルにも対応する。最大造形サイズは220×120×380mm。本体の希望小売価格は298万円。

「MfgPro220 xPF」

 「PartPro350 xBC」はバインダージェッティング方式のフルカラー造形機。最大造形サイズは222×350×200mm。積層ピッチは0.1mm。造形材料は石こう粉末と、CMYの3色+透明カラーを含んだ結合剤。幅広なプリンタヘッドを採用していることで一度にプリントできるエリアが広く、最大造形サイズで造形速度は毎時18mmだという。取り外し可能な脱着式モジュールを搭載し、プリントの効率化を図り、従来のフルカラーバインダー機と比較して1.5倍高速化したという。本体のサイズは138×77×130cmで、重量は254kg。希望小売価格は428万円だ。

「PartPro350 xBC」

 SLS(レーザー焼結)方式の「MfgPro230 xS」は最大造形サイズは230×230×230mmである。オープン材料プラットフォームを採用しており、ユーザーが希望する材料も利用可能だという。最大造形サイズで、時間当たり20mmの造形が可能で、冷却時間や準備期間も短縮したという。本体のサイズは146×74×189cmで、重量は310kg。希望小売価格は82万8000円だ。

「MfgPro230 xS」
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