さて、夏本番になってきていますが、矢面さんがいつものノリで印出さんのもとにやってきましたよ。
印出さーん。こんにちは。暑いですねー。
矢面さん、こんにちは。本当に暑いわね。矢面さんに何か聞かれても、何も考えられないくらい暑いわ。
そんな意地悪いわないでくださいよ〜。今日も聞きたいことがあるんです。
仕方ないわね。今日は何なの?
第4次産業革命のポイントは「データ」だと印出さんはおっしゃるじゃないですか。それで、工場でデータを取れるようにして、従来使っていた指標をリアルタイムに近く「見える化」するところまではいいんです。工場で働いている人たちも「面白いじゃねーか」と盛り上がっています。
それは良いことね。それで?
だけど、その先で「集めたデータを分析して新たな知見を生み出す」という話がいわれていますが、それがどうしようもない感じで……。
どういうこと?
なんというか、思い描いたものが全くできないんです。そもそもデータといってもさまざまな種類があるし、データを使う前提ではなかった機器もあって、そこから上がってくるデータフォーマットが無茶苦茶で、そもそも分析に至らないんです。
なるほどね。ITベンダーなどがいうほど簡単ではないという壁にぶつかったわけね。
さて、最近はさすがに減ってきましたが、当初はITベンダーなどはIoTへの提案などで「データを取得して分析すれば、生産性改善につながる新たな気付きを見つけられる」というようなことを訴えていました。しかし、実際に取り組んでみるとそもそもそれ以前の問題が多く存在することが分かります。
工場内の機器がネットワーク化されていない他、接続できないような古い機械が数多く存在する中で、データを取得するという仕組みを構築するのがそもそも難しいです。さらに、データを取得できるようになったとしても、何も考えずに集めたデータをそのまま使えるわけではありません。
例えば、よくあるのが、機器ごとの稼働情報や生産情報の基となるタイムスタンプが異なっているという問題です。タイムスタンプがバラバラであれば、同じ時系列で複数機器の工程などを比較しても、意味はほとんどありません。実際に得られたデータをそのまま活用して分析し、結果として「何も得られない」というケースも数多く存在しています。
つまり「データを取得しても、集めて分析しても、ちゃんとデータの準備をしていなければ、何も得られない」ということになります。こうした壁にぶつかって挫折し、実証の領域で挫折しストップしてしまうケースなども数多く存在しています。この壁を乗り越えるためには、どうしたらよいのでしょうか。
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