「分析したら何でも分かる」は妄想? 第4次産業革命の前提となるデータの考え方いまさら聞けない第4次産業革命(24)(2/3 ページ)

» 2018年07月03日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]

データを集めて分析すれば何でも分かる!?

 さて、夏本番になってきていますが、矢面さんがいつものノリで印出さんのもとにやってきましたよ。

photo

印出さーん。こんにちは。暑いですねー。


photo

矢面さん、こんにちは。本当に暑いわね。矢面さんに何か聞かれても、何も考えられないくらい暑いわ。


photo

そんな意地悪いわないでくださいよ〜。今日も聞きたいことがあるんです。


photo

仕方ないわね。今日は何なの?


photo

第4次産業革命のポイントは「データ」だと印出さんはおっしゃるじゃないですか。それで、工場でデータを取れるようにして、従来使っていた指標をリアルタイムに近く「見える化」するところまではいいんです。工場で働いている人たちも「面白いじゃねーか」と盛り上がっています。


photo

それは良いことね。それで?


photo

だけど、その先で「集めたデータを分析して新たな知見を生み出す」という話がいわれていますが、それがどうしようもない感じで……。


photo

どういうこと?


photo

なんというか、思い描いたものが全くできないんです。そもそもデータといってもさまざまな種類があるし、データを使う前提ではなかった機器もあって、そこから上がってくるデータフォーマットが無茶苦茶で、そもそも分析に至らないんです。


photo

なるほどね。ITベンダーなどがいうほど簡単ではないという壁にぶつかったわけね。


 さて、最近はさすがに減ってきましたが、当初はITベンダーなどはIoTへの提案などで「データを取得して分析すれば、生産性改善につながる新たな気付きを見つけられる」というようなことを訴えていました。しかし、実際に取り組んでみるとそもそもそれ以前の問題が多く存在することが分かります。

 工場内の機器がネットワーク化されていない他、接続できないような古い機械が数多く存在する中で、データを取得するという仕組みを構築するのがそもそも難しいです。さらに、データを取得できるようになったとしても、何も考えずに集めたデータをそのまま使えるわけではありません。

 例えば、よくあるのが、機器ごとの稼働情報や生産情報の基となるタイムスタンプが異なっているという問題です。タイムスタンプがバラバラであれば、同じ時系列で複数機器の工程などを比較しても、意味はほとんどありません。実際に得られたデータをそのまま活用して分析し、結果として「何も得られない」というケースも数多く存在しています。

 つまり「データを取得しても、集めて分析しても、ちゃんとデータの準備をしていなければ、何も得られない」ということになります。こうした壁にぶつかって挫折し、実証の領域で挫折しストップしてしまうケースなども数多く存在しています。この壁を乗り越えるためには、どうしたらよいのでしょうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.