京都大学は、治療効果の大きさを評価するメタアナリシスにおいて、治療効果の集団内での異質性を評価し、正確に予測する統計手法を開発した。実臨床現場などに、より正確な科学的エビデンスを提供する。
京都大学は2018年5月14日、同大学医学研究科 教授の古川壽亮氏らの研究グループが、治療効果の大きさを評価するメタアナリシスにおいて、治療効果の集団内での異質性を評価し、正確に予測する統計手法を開発したと発表した。
メタアナリシスとは、過去に行われた臨床試験の結果を統合し、薬剤や治療法の効果や副作用の大きさを評価する研究手法。一般的にメタアナリシスでは、試験間の平均治療効果と異質性の大きさを評価する。また、推測対象の値を含む可能性が高い区間である「予測区間」を示すことが推奨されている。
従来の予測区間は、統合する試験の数が少ない場合に、区間の幅を過小評価することが知られていた。また、その区間の幅を過小評価すれば、治療効果の過小評価と過大評価の両方が起こる可能性があるため、正確な評価方法の開発が求められていた。
今回、同研究グループは、これまでの過小評価の原因の大部分が、各試験間の異質性の影響を過小評価している点であることを解明。予測区間を正確に計算する方法を開発した。加えて、性能評価により、統合する試験の数が少なく、標準的な方法で大幅な過小評価が起こる場合においても、新手法ではほとんど過小評価が起こらないことを示した。
この新手法を用いることで、医療政策や実臨床現場などに、より正確な科学的エビデンスを提供できるとしている。
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