さてOSIoTがちょっと画期的というか、頑張ったと思うのは、このセマンティックゲートウェイを含むセマンティックリポジトリ(Semantic Repository)を、まるでIPネットワークにおけるDNS(Domain Name Server)のように、誰でもがすぐ使える様な形で提供するというアイデアの提唱である(図9)。もっとも、“Community based description aggregation”とか書いてあるあたり、仮にこれが実現したとしたらえらくもめそうな火種が埋め込まれている気もするのだが。
これらを利用することで、IoTの世界がどういう構造になるのか? というのが図10である。「Base Model」としてさまざまな「Concepts」があり、その上層に具体的なアプライアンスの種類が「Types of Things」として、さらにその上で具体的な製品がそれぞれのアプライアンスのTypeに対応する形で「Classes of Things」として定義されており、ここまでがリポジトリに登録されている。これが各家庭に入ると、まずClassis of ThingsからTypes of Thingsを逆引きでき、そこから対応するConceptsをさらに逆引きできることになる。これによって、各インスタンスがサポートする「Capability」や「Method」が分かるというわけだ。
そしてこれを使って、例えば温度センサーから温度を取得する(図11)といった操作が可能になるというわけだ。こうした、データモデルの標準化やデータの意味解釈の自動変換などのメカニズムを利用すると、デバイス(つまりインスタンス)の自動検出やネットワークへの追加/離脱といったメカニズムも簡単に実装できる、というのがデサイ博士の説明である。
同博士はさらに別のスライド※)で、その「Semantic Repository of Things」のサンプル提案も行っている(図12)。フロントエンドはセマンティックのグラフ検索をSPARQL(RDF用のクエリ言語)で行うとともに、グラフの入力ツールを構築しておき、一方バックエンドではPythonをベースにグラフDBを構築。これとThingsが通信するという構造である。
※)関連リンク:スライド「Semantic repository of things」
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