さて、今日も元気いっぱいで矢面さんが印出さんのもとにやってきましたよ。
印出さーん。こんにちは。はい、これお土産です。
あら、ありがとう。何かしら?
白アスパラガスまんじゅうです! ドイツでは春の風物詩となっている食べ物ですからね。印出さんにも喜んでもらえるかと。
うれしいけど。なぜ、まんじゅうに……。よく売ってたわね。ところで、ドイツに行っていたの?
ああ、2018年も前回に続いてハノーバーメッセに行かせてもらうことができたんです。今回は印出さんにも事前に連絡しようとしたのに全然連絡取れなかったんですもん。
あら、ごめんなさい。今回はドイツでいろいろ行くところがあって、忙しかったのよ。2回目のハノーバーメッセはどうだったの?
そうですねー。ひとことで表現するのは難しいですけど、「理想と現実」でいえば「現実」に一気に偏った感じがしますね。
なるほど、確かにそうかもしれないわね。
さて、ハノーバーメッセといえば、2011年にドイツのモノづくり革新プロジェクト「インダストリー4.0」のコンセプトが発表されたこともあり、ここ数年「インダストリー4.0」の進捗度を測るベンチマークとして注目を集めています。毎回、パートナーカントリーを決め、その元首とドイツ連邦共和国 首相のAngela Merkel(アンゲラ・メルケル)氏がハノーバーメッセ会場を巡り、経済会談などを行うことから、政治的にも大きな意味を持つ展示会となっています。
ハノーバーメッセ2018は、2011年のインダストリー4.0の発表から実に7回目を迎え、取り巻く環境も変わってきているといえます。2017年のハノーバーメッセの様子について紹介した「インダストリー4.0の地味化はいい傾向?悪い傾向? 」でも既にふれていますが、ハノーバーメッセ2018ではインダストリー4.0による「夢のような理想の生産現場」を描く展示はほとんど見なくなりました。逆に理想を実現するためにぶつかった課題に対して「どのように乗り越えるべきなのか」という「理想とのギャップを埋める技術」に大きく注目が集まったというのが筆者の印象です。
これはインダストリー4.0の目指す方向性や概念が浸透し、現実的なソリューションがさまざまな形で出てきていることを示します。実際に工場の「見える化」や機器の「予兆保全」「マスカスタマイゼーション」などのソリューションは導入が可能なレベルのものが数多く登場しており、実ビジネスとしての動きが本格化してきています。「理想」だけを描くのではなく、「現実のもの」として動き始めているのです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.