PROFIBUS & PROFINET International(PI)はハノーバーメッセ2018において、TSN対応を本格化する方針を示し、各種対応デバイスを披露した。また、新たに仕様が完成したIO-Linkの無線対応規格のデモも行った。
PROFIBUS & PROFINET International(PI)は、ハノーバーメッセ2018(2018年4月23〜27日、ドイツ・ハノーバーメッセ)において、TSN(Time Sensitive Networking)対応を本格化する方針を示し、各種対応デバイスを披露した。また、新たに仕様が完成したIO-Linkの無線対応規格「IO-Link Wireless」のデモも行った。
PIは産業用ネットワークであるPROFIBUSやPROFINET※)の推進団体である。工場などの機器やラインの制御を行う産業用フィールドネットワークは、従来は機器個別の通信規格が使われていた。しかし、イーサネットなどの普及により、ここ最近は産業用領域でのイーサネットベースの通信規格が広がりを見せている。産業用イーサネットでは、従来のオフィス向けの規格だけでは遅延の問題や安定性の問題から、各団体が独自の仕様を加えて高速で高精度な制御を行えるようにしているのが現在の状況だ。
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TSNはこうした状況に対し、イーサネットをベースにしながら時間の同期性を保証しリアルタイム性を確保できるようにしたネットワーク規格である。「IEEE 802.1AS-Rev Timing and Synchronization for Time-Sensitive Applications」で仕様が定義されている。
TSNの特徴は、データリンク層のレイヤーに組み込むため既存のハードウェア設備などがそのまま利用できることである。物理層などはそのままに、時刻同期や優先的に通すデータを制御する機能などを加えることで、リアルタイム性を確保している。
そのため異なる産業用イーサネット規格同士でもリアルタイム性を確保して接続することが可能になるとされ、複数の通信プロトコル環境が乱立する工場内での利用などで期待されている。また、既存の通信プロトコルと組み合わせることが可能で、インダストリー4.0※)の推奨通信規格とされているOPC UAでもTSN対応を進める方針である他、今回PROFINETと組み合わせで使用する意義を訴えた。
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デモでは、監視カメラの映像と計測機器がTSNによりリアルタイム性を確保して連携し、リアルタイムデータを読み取れる様子を示した。日本プロフィバス協会 会長の元吉伸一氏は「TSNはデバイスレベルでのデモを実現できるようになってきた。今後、さらにデバイスの価格などが落ち着き、各種機器の開発が進む数年後には本格的に利用が広がると考えている」と述べている。
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