シュナイダーエレクトリックは、従来展開していたHMI製品で培った技術を生かし、簡単に工場内の機器情報を取得できる見える化製品を2017年から展開。もともと町工場からの依頼を受け開発したという現場発のニーズを捉え、中小企業から大企業まで幅広い引き合いを得ているという。
スマートファクトリーなど、工場内のデータ活用を進める動きは広がりを見せているが、多くの製造現場において、まず障害になる点が「つなぐ」という点である。最新の機械などは別として、もともとある工場内の古い機械は、ネットワークに接続することを想定しておらず、対応する機能なども持っていない。このような機器からどのように適切に情報を取得するのかという点が、スマートファクトリー化の中での1つの課題となっている。
こうした数多くの製造現場が苦しむニーズを解決する製品を商品化し、多くの引合いを得ているのがシュナイダーエレクトリックである。シュナイダーエレクトリックでは2017年6月に古い機械からでも簡単にデータ収集が可能な「Pro-face IoT Gateway」を製品化した。
「Pro-face IoT Gateway」は、PLC(Programmable Logic Controller)と表示機器(HMI)の間に接続し、表示機器(HMI)で表示する制御データなどを取得して通信し、データ収集や制御できる機器だ。シリアル通信I/Fに空きがなくても接続でき、プログラム変更なども必要ない。さらにWebブラウザ経由で設定変更なども行えるという機器である。既存の設備を大きく変更せずにデータを取得可能とすることが特徴だ。
「Pro-face IoT Gateway」の開発を行ったシュナイダーエレクトリック HMI事業部 HMI事業部長の石井友亜氏は「もともとはある町工場の依頼から全てが始まった」と述べる。
シュナイダーエレクトリックでは、ユーザーイベントを毎年開催しているが2015年のイベントではイノベーションサンプルを出展し「投票で1番になったものを製品化する」という催しを行った。そこで1番になったのが「Pro-face IoT Gateway」の原型となったものだったのだ。「多くの町工場から手軽に楽に間を埋めるものが欲しいという声はもらっていた。通信インタフェースにない設備からどう情報を取るのかという問い合わせなども多く、町工場にとって本当に困っている点だと理解できた」と石井氏は述べる。
その後本格的に開発を推進。開発コードネームは「横取り君」とし、既存設備の変更や修正などを行わなくてもデータを取得できることを目指して開発を行った。
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