NECは、現行の3カ年中期経営計画の達成が難しくなったことを受け、目標を再設定した2020年度までの3カ年の中期経営計画を発表した。再建に向けては「収益構造の改革」「成長の実現」「実行力の改革」を3本柱とし、成長の原動力として監視システムなどのセーフティ事業を位置付けた。
NECは2018年1月30日、2020年度(2021年3月期)までの3カ年の中期経営計画を発表し、成長の原動力として監視システムなどのセーフティ事業を位置付けた。
NECでは2016年度(2017年3月期)から2018年度(2019年3月期)までの3カ年で、社会価値創造企業への移行を掲げ、中期経営計画を推進中だった。しかし、当初想定していた目標に届かないことが明らかになったため、新たな中期経営計画として2020年度を最終年度とする「2020中期経営計画」を発表することとなった。
NEC 代表取締役 執行役員社長 兼 CEOの新野隆氏は「前回の中期経営計画で示した収益性改善の取り組みはほぼ計画通りに推移したが、既存事業の落ち込みが想定以上となった。市場の読みが甘かった面もある他、成長に向けた取り組みもスピード感がなかった」と反省の弁を述べた。
これらを受けてNECでは社会価値総合型企業に向けた取り組みは継続するものの、「収益構造の改善」「成長の実現」「実行力の改革」の3つの取り組みを行う。
収益構造の改善については、国内の間接部門、ハードウェア事業領域を対象に3000人の人員削減を行う。さらに不動産、IT、マーケティングなどでコスト削減を図る。加えて、テレコムキャリア事業とエネルギー事業の再編を推進。低収益領域からの撤退を進める。エネルギー事業では、家庭用などの小型蓄電事業のおいて自社開発と製造から撤退。保守およびサポート事業のみを残す。さらにリチウムイオン電池向けの電極の製造・販売を行っていたNECエナジーデバイスについては2017年12月に中国の民営投資会社GSRキャピタルに譲渡することを既に発表している。
新野氏は「エネルギー事業については全方位経営を改め、NECエナジーソリューションズが担当するエネルギーSI事業に集中する。NECエナジーソリューションズについては2018年度に黒字化を目指す」としている。
生産体制についても、国内拠点の再編を進める。既に国内の生産体制については、ビジネスユニットごとの最適化を進めるステップ1、工場の大半をNECプラットフォームズに集約し工場間連携を実現するステップ2へと効率化を進めてきている。今後は「グローバルOne Factory」を掲げ、スマートファクトリー化による生産性の向上を進める一方で、国内に現存する9工場の統合や閉鎖なども含めた効率化を推進する。
これらを見据えて、既に国内外全工場の生産プロセスやシステムの共通化を推進している一方で、工場IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)技術を活用するタイの新工場を積極活用していく方針を示している。
新野氏は「9工場をどれくらい閉鎖するのかや、どの拠点が対象となっているのかなどの細部については今後話し合いを進めていくという段階だ。将来を見渡した時に、国内工場全体における生産量は減ることになる。これらの需要に合わせた形で効率化を進めていくことが必要だ」と考えについて述べている。
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