さよなら123Dでエモい、エヌビディア定規がフィーバーですっごーい！：メカ設計 年間ランキング2017（3/3 ページ）

[小林由美，MONOist]

自宅が工場化できる予感

　第5位は卓上プレス機の記事でした！　個人向け卓上工作機が得意なオリジナルマインドなのですが、ついにプレス機まで……！

• ＜第5位＞板金を曲げ曲げしちゃう、個人向け卓上折り曲げ機「MAGEMAGE」を発売

　たたずまいもスタイリッシュです。販売価格は7万9800円。さらに第4位も、オリジナルマインド製品の記事が続きます。

• ＜第4位＞あなたの部屋にも射出成形機、量産力が欲しい人向け「INARI」

　射出成形機もかよ！　価格は19万8000円。サラリーマンであれば、ボーナスや貯金を使えば買えそうな価格です。とはいえ……、買えたとしても簡単には使えないと思うんですが。それでも、「欲しい」という声があちこちから聞こえてきました。もちろん金型は自力で作らないといけません。併せて、卓上切削加工機も買ってくださいね。

　オリジナルマインドではアルマイトキットまで売っています。これでもう自宅の部屋が工場化できますね。しかし、騒音やらにおいやらで、近所迷惑にならないよう気を使わないといけないですね……。

　第3位は、マツダ 技術研究所で取り組む、多目的最適化に関する記事です。MONOistのCAEや設計技術の記事で活躍する加藤まどみさんによる寄稿です。

• ＜第3位＞形にならぬ設計者の思いを可視化、マツダCX-5を洗練させた設計探査

　自動でパラメータを振りながらCAEによる評価を繰り返し、目的の性能を満たすような設計案を見つけ出す、多目的最適化。マツダでは中型SUV「CX-5」を皮切りに、設計開発での適用を進めてきたということです。本格的で複雑な最適化設計は深い専門知識が必要で、大手のメーカーでも担当できる技術者さんはそれほど数が多くないと聞きます。

　結局は、最適化によって得られた解の集合の分析のやり方が肝心なのですが、記事では「そこでAI（人工知能）は活用できるのか」と問いかけています。皆さんはどう考えますか？　記事をお読みでない方は、ぜひ確認してみてくださいね。

　加藤さんはこんな楽しいイベントも取材しています（関連記事：笑う！　ファブ3Dコンテスト2017、スイカ維管束大好きっ子も再来）。記事の、特に5ページ目の写真キャプション（念のため、担当編集ではなく、加藤さん自身のコメントです）をぜひお楽しみください。

　第2位には、「ママさん設計者」こと、藤崎淳子さんの記事。2016年のランキングでは5、4、2、1位だったのですが、2017年もまた2位獲得となり、ママさんすっごーい！

• ＜第2位＞『「プラスチック」と「樹脂」って何が違うの？　それに「エンプラ」って何よ？

　連載「ママさん設計者とやさしく学ぶ『機械材料の基本と試作』」の4回目の記事でした。振り返ると、この回は「いまさら聞けない」情報が満載だったかなぁと思います。「プラスチック」「樹脂」「エンプラ」について、しっかり説明できる自信がない方には要注目な内容になっています。併せて、材料物性の弾性と塑性の基本についても説明しています。編集担当として、この記事で印象的だったのは、機械材料選びを夕飯の支度（ハンバーグ）に例えていたところですね。いかにもママさんらしいです。「ママさん設計者シリーズ」の解説では、このようなユニークな比喩がたくさん出てくるところも特色です。

　第1位は、ちょっと寂しくなる……、あの記事でした！

• ＜第1位＞無償3D CAD「123Dシリーズ」がサービス終了へ、「Tinkercad」などに機能統合

　数年前の3Dプリンタブームのさなかに人気を博した無償の3D CAD「123Dシリーズ」のサービス終了のお知らせでした。2017年3月31日で提供終了となりました。現在は、記事にもある通り、「Tinkercad」に取り込まれて、機能はかなり縮小された状態で無償提供されています。

　記事中に当時の123DシリーズのWebサイトのキャプチャーが張られていますが、なんとも「エモい」。個人的には、なんとなく、「行かないで……」と言いたくなるような、まるで天国にでも行ってしまうかのような寂しい絵にも見えました……。

　2017年12月に入り、またもやオートデスクの「終了のお知らせ」情報を聞きつけました。今度は、ゲームエンジン「Stingray」の開発終了のお知らせです（ゲームエンジン「Stingray」の開発が2018年1月で終了、今後はMayaや3ds Maxの機能に）。この記事をまとめている際中に、123D終了の件を思い出したことは言うまでもありません。前年の同時期だったので……。

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　ほんのり寂しいニュースで締めくくる、2017年のメカ設計フォーラム 記事ランキングとなりました。2017年中に起こった、1つの時代の終わりと、新たな時代の始まりや予感を覚える内容のようにも思いました。

　読者の皆さま、2017年は大変お世話になりました。2018年もMONOistをどうぞよろしくお願い申し上げます。