インターネットイニシアティブはIoTの市場概況と同社におけるIoT事業の現状について説明した。同社とベンチャー、行政などが連携して取り組む農業IoTプロジェクトについても紹介した。
インターネットイニシアティブ(IIJ)は2017年12月5日、IoTの市場概況とIIJにおけるIoT事業の現状について説明会を開催した。IIJは2016年7月より「IIJ IoT」サービスを発表し、その翌月にはフルMVNO(Mobile Virtual Network Operator、仮想移動体通信事業者)サービスを発表。以来、さまざまなIoT関連製品やサービスを開発しながら、他企業や組織との協業に取り組んだり、実証実験を行ったりなどしてきた。スマートファクトリー分野では生産ラインメーカーの平田機工と協業している。
IIJは同社のモバイルサービスが2017年9月末に200万回線を突破したと発表している。法人向けモバイルについては、IoT/M2Mでの用途が急増し、2015年を境にして、PCもしくはスマートフォンでの利用数を超した。法人向け用途の3分の2をIoTが占めるという。
IIJが実施した2017年の法人モバイルカスタマーサーベイの結果によれば、IoT/M2Mの活用分野としては、監視やマーケティングといったカメラ関連が最多だった。
IoT市場のプレイヤーと事業領域として、IIJはメーカー系SIer、クラウド事業者、ハードウェア組み込み開発、キャリア、IoT専門MVNOの5つに分類。さらに、その縦軸は関連技術の項目として、アプリケーション、データ解析、データ管理、ネットワーク、デバイス、セキュリティと並ぶ。それぞれの分野のプレイヤーが自身の強みを発揮しながら、IoTに取り組んでいる現状だ。
IIJはデータ解析サービスとして、クラウドサービス「IIJ GIO(ジオ)」を提供する。IIJ IoTのサービスとしてはデータ管理やネットワーク関連を中心とし、デバイスの部分においてはネットワークマネジメント(ルーター管理)サービスである「SACM」にも取り組む。セキュリティ技術としては「wizSafe(ウィズセーフ)」を提供する。
IIJは通信キャリアでもあり、SIerでもある。他社にはできないIoTプラットフォームを実現し、他社技術も活用しながらIoTを形にする開発力を育てるため、同社自身の実践とさまざまな企業や組織とのビジネス共創が重要だとしている。
「市場に受け入れられる仕組みを目利きして、実践していきたい。それがIoTを真に普及させるために効果的だと考える。IIJの強みを生かせる」(IIJ クラウド本部 副本部長 染谷直氏)
IIJのサービスには、同社の現場に導入して試しながら作り上げられるものがよくあるという。SACMもそのうちの1つであるとのことだ。
IoTに必要な技術要素は、以下のように多岐にわたる。
IIJは「モバイルネットワークを中心に、IoTの“つなぐ”を全てを提供する」という開発方針を掲げる。併せて、ゲートウェイ管理やSIMコントロール、有線ネットワークコントロール、データ蓄積・管理、可視化までを含めたプラットフォーム機能の開発にも取り組んできた。さらにそのような要素をIIJ IoTサービスとしてシンプルにまとめた。
同サービスでは、上り回線通信を利用するIoT専用SIMを月額300円からで提供している。1枚からインターネットで申し込みができる。利用速度制限がないので、動画など大容量データにも対応できる。さらに、ユーザーが専有する閉域ネットワークも利用できる。
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