2016年に引き続き、エレクトロニクス/組み込み分野に詳しい大原雄介氏による「ET2017/IoT Technology 2017」の“獣道”レポートをお送りする。プロセッサや計測器などで興味深い製品が出展されている中、大原氏が気になったこととは……。
前回の“獣道”レポートが評判よかった(?)のかどうなのか、今回の「ET2017/IoT Technology 2017」についても依頼が来ることになった。まっとうな記事はこちらのET2017特集ページにまとまっているので、先にこちらをお読みいただければと思う。
テカナリエの清水洋治氏の連載は皆さまお読みかと思うが「その22」に出てきた中国のGigaDeviceが、Armのブース内に出展していた(Photo01、02)。
同社は以前から国内に拠点を置いてはいたが、主にNORフラッシュやNANDフラッシュを販売していたとか。ただ最近はそれこそ清水洋治氏の連載のおかげもあって(?)か知名度が上がってきており、本格的にMCUの展開も始めていきたいという話であった。ただ現状の問題はサポートだとか。データシートなどの資料は英語で用意されているので困らないのだが、問題は開発者向けのサポートフォーラムが完全に中国語という状況で、これをどうしようかいろいろ考えている最中だそうである。
ちなみに同社は2017年12月8日に品川で開催される「Arm Tech Symposia 2017」で「中国発Armマイコン GD32シリーズ」というセッション(Track E)を行う他、会場で展示も行う予定である。
このGigaDeviceとある意味対照的な展示をおこなっていたのがiCOP I.T.G.。こちらは台湾DM&Pの関連会社であるiCOP(本社はこちらも台湾)の日本支社であるが、x86ベースのSoCである「Vortex86シリーズ」を搭載したモジュールやSOMの展示を行っていた(Photo03、04)。
ご存じの方も多いかと思うが、Vortex86というプロセッサ、オリジナルは1998年にRiSEというファブレスのベンチャー企業が開発した「mP6」という、インテルの「Pentium」とほぼ同程度の性能をより低い消費電力で実現する独自のx86コアプロセッサである。ただRiSEはビジネス的にあまりうまくいかず、結局台湾SiSに会社ごと買収された。
SiSはこのRiSEのmP6を組み込んだ「SiS550」というSoC(System on Chip)を開発し2000年頃から発売した。ところがSiS自身もビジネスがうまくいかなくなり、さまざまな資産の切り売りを始める。DM&PはSiSからmP6コアを含むSiS550シリーズ丸ごと一式を買収、これをVortex86という名前で売り始めた。その後、内部の再設計なども行われており、現在は6製品がラインアップされている。
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