机上の空論になりがちな「問題解決」、それを本当に進めるための“現場のコンサル力”向上のヒントをお届けする本連載。第6回では、有効な解決方法の選択と着実に成果を出すためのヒントをお話しします。
前々回、前回と「演繹法」による問題解決策の洗い出しについて説明および演習を行いました。これで本質的問題の特定とそれに対する解決策の検討までが行えるようになりました。
次に必要なのは、洗い出した問題解決策から有効なものを選択することです。演繹法ではとにかくあらゆる解決策を漏れなく洗い出したわけですが、片っ端から案を出している以上、当然その中には非現実的なものや逆効果のものまでさまざまなものが存在します。そこで実際に問題を解決できる解決策をどのように選択するかが重要になってきます。ポイントは以下の3点です。
1.誰が解決策を実行する?
解決策を選定する際、その解決策を実行するのは誰なのかによってその解決策が“現実的に”有効かどうかが違ってきます。解決策を実行するのが自分自身であったり、その解決策の支持者であったりすれば、特に問題はありません。
しかし対立する部門であったり価値観の全く違う人であったりする場合、そもそもその解決策が支持されず、実行してもらえないことも多々あるでしょう。画期的で有効な解決策も、機能しなければ机上の空論です。大事なことは、その解決策が実行する人に支持され、実際にアクションに起こされるかどうかということですので、実行する人も含めて詳細を詰めていくことが肝心です。
2.短期的な解決策か、中長期的な解決策か?
解決策のうち、一般的には効果が大きいものほど時間をかけて中長期的に行わなければならないものが多い傾向にあります。これは当然で、根本的な解決策ほど時間がかかるからです。しかし現在取り組もうとしている問題がすぐに手を打たなければならない問題の場合はそうも言っていられません。
例えば火事が起きている家があったとしましょう。その家は木造で燃えやすく、かつ住人の火の不始末がしばしば起きていたので、家を難燃性にして火の管理を厳重にする……なんてことをする以前にまずは火を消しますよね? 大事なことは、短期的で効果の低い解決策だけ実施して根本的な問題解決を行わないのではなく、必要であれば両者を複合的に行うことです。短期的な解決策で成果が出れば、問題解決に対する支持も広がってくると思います。そういった力で中長期的な効果の高い解決策も実行していきましょう。
3.実行の難易度は?
実行する内容がゼロベースで作成しなければならなかったり、多くのコストがかかったりするような場合、予算や工数の面で無理が出てくる可能性があります。またその組織の業種(業務)・風土・文化・方針などに真っ向から反するような内容ではなかなか定着しないのではないでしょうか。解決策の選定に当たっては、そういった背景も踏まえて現場が実行できる難易度のものを選択することが成果を出すカギの一つです。
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