製造現場におけるワークや工具の管理など、自動化の大前提として工場を支えている工業用バーコード。本連載ではあらためて、工業用バーコードの基礎的な知識をおさらいします。第2回はバーコードの種類について解説します。
前回の「工業用バーコードとは何か?」では、バーコードの種類として1次元バーコードと2次元マトリックスコードが存在することを紹介した。今回はその要素や種類をより詳しく紹介していく。
世界で初めて使用されたバーコードは1次元バーコードである。1次元バーコードは線形の要素で構成されるが、この線形コードには、英数字データしか格納できない。文字はそれぞれ、製品ごとの異なる何かを表す。各文字が何を意味するかは、データベースが提供する。
多くの場合、1次元バーコードは左から右へ読み取られる。バーとスペースの幅の組み合わせで特定の文字を表現する。クワイエットゾーン(マージン)はバーコードの左右にある空白域で、リーダーはこの領域を検出してバーコードの位置を判断する。一般にクワイエットゾーンは、最も細いバーの幅の7〜10倍必要とする。
細バー(最小エレメント)の幅を基準に、コード内のその他のバーの幅が決められる。例えば、よく使われる割合は「2:1」「3:1」「2.5:1」で、これは最も幅の狭い黒いバーを基準にした時の白いバーおよび黒いバーの幅の比を表す。また、ガードパターンを持つバーコードもある。ガードパターンはバーコードの先頭と末尾にあるパターンで、リーダーにバーコードがどこで始まってどこで終わるのかを知らせる。
一般的な1次元バーコードには「GS1」、小売商品や日用品によく見られる「UPC(共通商品コード。Universal Product Codeの略)」、欧州連合(EU)で使用されている「EAN」、128個のASCII文字全てを記述でき、物流でよく使用される「Code128」などがある。このようなバーコードの大半は、標準仕様の一部としてチェックデジットを保有する。チェックデジットは、コードが完全で損傷がない、または情報の欠落がないことを検証するために使用される。チェックデジットによる検証はコード内のデータを使って数学的に行われる。
「Code 39(軍事関係で広く用いられているコード)」「POSTNET(米国郵政公社:United States Postal Serviceで使用されているコード)」「Codabar」「Interleaved 2 of 5」などの1次元コードでは、チェックデジットはオプションで、読み取りエラーが増える場合などに適用される。製薬業界で使用されている「Pharmacode」は、前後両方から読み取れることが特徴だ。ただ、このコードは画像処理式リーダーを使用する場合でも、毎回同じ方向からの読み取りに配置しなければならないという弱点も存在する。
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