金属材料は塑性を経て破断に至るのがほとんどなので「延性材料」と呼ばれ、引っ張り強さの値が大きいと「延性が高い」、値が小さいと「延性が低い」と言い、加工した感触を「ネバる」とか「サラッと」などと表現したりします。
従って、「ネバる材料」は引っ張り強さが大きくて破断させにくい傾向、「サラっと材料」は引っ張り強さが小さくて破断させやすい傾向というふうにイメージしておきます。ちなみに、ガラスやセラミックのように、ほとんど塑性を経ずにたちまち破断するようなデリケートな材料では、引っ張り強さは期待できません。そのため、この手の材料を文字通り「脆性材料」と呼び、構造部品に使うときには加工方法をよく検討します。
「強さ」と合わせてイメージをつかんでおきたい性質が、「粘り」と「硬さ」です。「粘り」とは強靭性のことで、衝撃を吸収して破断を阻止するために踏んばる力のことです。「硬さ」とは「強さ」とは違う、材料表面に部分的に力がかかった時の抵抗力で、「硬度」でその程度を見ることが出来ます。硬度は材料の種類や形状によって、大きく分けて下図の4つの試験方法のどれか、もしくは複数の試験方法を組み合わせて用います。
こうして見ると、ショア硬さ試験以外は材料に力をかけた時の塑性(変形)の度合いで硬度を求めていることが分かると思います。
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