日本発の印刷型有機ELパネルの技術開発を推進するJOLEDは、印刷型技術での量産技術を確立し、21.6型の高精細4Kパネルのサンプル出荷を開始する。JOLED 社長の東入來信博氏は「中型から徐々に市場を拡大し印刷型有機ELを10型以上の領域でデファクトスタンダードにしていきたい」と述べている。
JOLEDは2017年5月17日、同社が研究開発を進めてきた印刷型の有機ELパネルのサンプル出荷を開始すると発表。合わせて事業戦略について說明した。
JOLEDは、有機ELディスプレイパネルの量産開発の加速と早期事業化を目的に、ソニーとパナソニックの有機ELディスプレイ開発部門を統合して2015年1月に発足した。その社名の通り日本の有機ELディスプレイ技術を結集した企業として知られている。JOLEDの特徴として印刷型有機ELの技術確立を推進する技術開発会社であることが挙げられる。
有機ELは自発光型のパネルデバイスだが、EL層(発光層)を形成する製造方式として、真空状態で材料を気化させて形成する蒸着方式と、大気中で印刷して行う印刷方式の2種類が大きく存在する。現在、スマートフォンやテレビなどで利用されている有機ELパネルの製造方式はほぼ全てが蒸着型を採用しており、印刷型は最終製品の性能に耐え得る技術が確立されていない。ただ、最終的に印刷型技術の歩留まりが上がればコスト構造的には蒸着型より優れているとされている。
JOLED 代表取締役社長の東入來信博氏は「研究開発の母体となったソニーは蒸着型技術も開発しており、議論はあったが、最終的には印刷型こそが成功への道だと考えた。既にソニーとパナソニックそれぞれの企業が技術開発に1000億円以上投じており、有機ELに関する特許も2600以上、現在進行系のものを加えると4300件以上におよんでいる。その内1500件は印刷関連技術であり、印刷型有機ELで先を行く存在だ」と述べている。
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