「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像

自動運転車がシステム異常時にも安全な場所まで走るには車載半導体(1/2 ページ)

ルネサス エレクトロニクスは報道向けに「レベル4」の自動運転車を披露した。車両は2017年1月のCESに出展したもので、ルネサスとカナダのウォータールー大学や協力企業で共同開発した。ハードウェアの故障やハッキングが起きても自動運転のまま安全な場所まで退避する様子を車両で実演した。

» 2017年04月10日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 ルネサス エレクトロニクスは2017年4月6日、東京都内で報道向けに「レベル4」の自動運転車を披露した。車両は2017年1月のCESに出展したもので、ルネサスとカナダのウォータールー大学や協力企業で共同開発した。

 自動運転車の走行デモンストレーションでは、ハードウェアの故障やハッキングが起きてから自動運転のまま安全な場所まで退避するまでを実演した。

2017年1月のCESで披露した自動運転車(クリックして拡大)
GPS(左)ライダー(中央)単眼カメラ(右)を搭載している(クリックして拡大)

ルネサスの自動運転車はどんなクルマ?

 ベース車両はLincoln(リンカーン)のセダン「MKZ」で、前方の監視に単眼カメラとミリ波レーダー、周辺監視にライダー(LiDAR:Light Detection and Ranging)を使う。GPSや路車間・車車間(V2X)通信機も搭載している。日本で走行するため、GPSはCESに出展した仕様から変更している。デモ車両は米国ミシガン州のナンバーが付いているが、自動運転での公道走行はしていないという。また、日本のナンバーは取得していない。

 デモ車両は自動運転中にカメラで車線を検知しながら走行する。カメラは一時停止の標識も認識する。デモでは、V2X通信を利用し、信号機から情報を得て停止・発進したり、前走車両と一定距離を保って近づきすぎないように走行したりする様子も紹介した。

 一般車両や歩行者が進入しない私有地の中でデモ車両が走行したが、敷地が狭いため走行速度は時速10kmに設定。2017年のCESでも走行速度は時速16〜20kmだった。米国の私有地内でのテストでは時速80kmを出したこともあったという。

 デモ車両の後部座席に乗って自動運転を体験してみたところ、動きはとてもぎこちない。一時停止の標識に従って停止する時には、止まる直前でブレーキを抜く制御がないので前のめりになるし、ステアリングの切り方もカクカクとしていた。しかし、車両の制御はルネサスの自動運転車の見どころではない。

前走車両と車車間通信している。接近し過ぎたので減速したのを外から見た様子(左)。車内の様子。画面上で前走車両を検知していることが分かる(中央、右)(クリックして拡大)
一時停止の標識をカメラで検出して停車する(クリックして拡大)
路車間通信で信号の情報を取得し、赤信号で停止した。青信号になると自動で発進する(クリックして拡大)
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