クロスプラットフォームのアプリケーション開発フレームワーク最新版を発表組み込み開発ニュース

The Qt Companyは、クロスプラットフォームのアプリケーション開発フレームワーク「Qt」のアップデート版「Qt 5.8」をリリースした。IoTや組み込み機器向けに最低限必要なQtの機能を選択して利用できる「Qt Lite」を追加した。

» 2017年02月13日 08時00分 公開
[MONOist]

 フィンランドのThe Qt Companyは2017年1月23日(現地時間)、クロスプラットフォームのアプリケーション開発フレームワーク「Qt」のアップデート版「Qt 5.8」を発表した。マルチプロセス対応向けの機能やステートマシン開発ツールへの統合、また、IoT(モノのインターネット)向けにパフォーマンスを改善し、メモリ消費量を削減した。

 Qt 5.8では、IoTや組み込み機器向けに最低限必要なQtの機能を選択して利用できる「Qt Lite」を新たに追加した。これにより、最大60%のメモリフットプリントを削減し、アプリケーションの起動時間を短縮する。GUIの設定ツールへの対応、OpenGL依存からの脱却などのほか、ウェアラブル機器や低スペックのIoT機器など対応ハードウェアも拡大した。

 UI開発の面では、Qt Wayland Compositor APIへ正式に対応。独自のWaylandコンポジタを作成でき、コンポジタの作成に必要なツールも備えた。C++やQMLにより、コンポジタのUI/UXを記載できる。

 Qt Wayland Compositor APIを採用する利点は、マルチスクリーン対応のデバイスの容易な開発、高度に抽象化されたAPIの提供によるコード量の削減およびテスト・デバッグの工数の削減などがある。また、Waylandの拡張をサポートし、クライアントとコンポジタの通信を自由にカスタマイズできる。さらに、XDG shell/WL shell/IVI applicationなどのシェルエクステンションが組み込まれており、さまざまなエクステンションを採用しているクライアントにも対応可能だ。

 他に、Qt Serialbusの正式対応や、Qtテクノロジープレビューとして追加された音読み上げ機能の追加を発表。アプリケーションやデバイスをクラウドに接続してサードパーティーのウェブサービスとの連携を容易にする「Qt Network Authorization」などの新機能を搭載している。

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