SIGFOXデバイスから送信され、基地局で受信されたデータは、SIGFOXバックエンドクラウドに蓄積されます。SIGFOXバックエンドクラウドには、サードパーティーのWebサーバ(クラウドサービス)との連携のため、データを取得するためのWeb APIが用意されています。また、自動的にデータをサードパーティーのWebサーバに転送するコールバック機能が具備されています。
コールバック機能は、SIGFOXデバイスから送信されたデータを、都度、サードパーティーのWebサーバにHTTP/HTTPS(GET、PUT、POST)で転送する機能です。コールバック機能は、SIGFOXバックエンドクラウドで設定可能です。
その一例をご紹介します。サードパーティーのWebサーバがhttp://www.foo.com/receiveというPOST待ちうけAPIを用意した場合、SIGFOXバックエンドクラウド上で、相手先URL、HTTP Method、Content Type(図4の場合、JSON形式)およびJSONメッセージボディーの定義を行います。
JSONメッセージボディーでは、かっこ{}付事前定義があり、例えば{device}とした場合、実際にPOSTされるJSONメッセージには、SIGFOXデバイスのDevice IDが付与されます。この機能により、システム開発者は、データ収集用のネットワーク設備の設計、開発を考慮することなく、見える化、分析アプリケーションの開発に集中することができます。
SIGFOXネットワークは、フランス、スペインから始まり、西欧では、既に人口カバー率85%のエリアが構築されています。さらに、200種類を超えるデバイスが展開されており、多くのユースケースが存在します。
ガスや水道の自動検針や、GPS位置情報端末による見守りやコンテナ、パレットなどの物流分野での利用、火災報知器やセキュリティサービス、設備監視など、さまざまな分野で利用されており、SIGFOXのWebサイトでも紹介されています。
IoTビジネスは、今までの携帯電話機やスマートフォンのビジネスとは異なり、エンドユーザーのニーズに合わせた専用端末が必要となるケースが多く、ニーズに合わせた端末をいかにスピーディに作り上げ、サービス化できるかが、成功の鍵となります。ただし、1社で全てを提供できる企業はわずかであり、デバイスサイドとアプリケーションサイドの企業間連携が重要です。
SIGFOXは、SIGFOX Certification Program(SIGFOX Ready Program)を用意することで、エコシステムパートナーを拡大しています。Certification Programは、以下の3つの体系に分かれています。
このプログラムに参加することで、SIGFOXからの技術協力や製品のWebサイト掲載、マーケティング協力が得られます。同プログラムは日本でも同様に提供されています。
世の中はビッグデータの時代といわれています。しかし、その元になるデータを安価に集める仕掛けやシステムがないと、ビッグデータも一部の閉じた世界での活用にとどまってしまいます。
SIGFOXネットワークは、少量データに特化することにより、通信モジュールのインタフェースの簡便化や省電力設計を可能にし、デバイス開発の障壁を大きく下げることが期待できます。また、SIGFOXバックエンドクラウドサービスの提供は、サービスアプリケーション開発においても、サービス提供プロバイダーの負荷を低減するなど、効果を発揮するでしょう。
SIGFOXネットワークが広がれば、IoTデバイス(センサー+通信モジュール)に数年間の通信料金を含めて数千円、という売り切り、掛け捨てのような売り方ができるようにもなります。IoTの展開、ビッグデータの活用、あるいは通信というものの売り方を大きく変える可能性を秘めています。
京セラコミュニケーションシステム LPWAソリューション部 副責任者
1996年京セラコミュニケーションシステム株式会社入社、研究部配属。以降、セルラーネットワークの無線オプティマイゼーション技術、広域無線LANシステム、映像伝送用ミリ波システム、自治体向けソリューションの開発普及に従事。2016年10月、SIGFOXネットワークの日本展開にあわせ、技術責任者としてLPWAソリューション部に異動。
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