運転中の音声入力の認識率を3割向上、運転席からの声だけを拾うオートモーティブワールド 2017

新日本無線は、「オートモーティブワールド2017」において、雑音の多い走行中の車内でも音声認識の精度を向上する技術を紹介した。

» 2017年01月24日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 新日本無線は、「オートモーティブワールド2017」(2017年1月18〜20日、東京ビッグサイト)内の「第9回 国際カーエレクトロニクス技術展」において、雑音の多い走行中の車内でも音声認識の精度を向上する技術を紹介した。ドライバーが発した声のみを抽出して雑音を除去することで、音声入力アプリでの認識処理を行いやすくする。

 デモンストレーションでは、同社のMEMSマイクアレー、信号処理プロセッサ、オーディオアンプ、電源回路、Bluetoothモジュールを組み合わせた認識支援モジュールを用いた。この認識支援モジュールをBluetoothでiPhoneとペアリングし、スマートフォンのマイクの代わりに使用する。認識支援モジュールが音声認識を行いやすい状態に処理した音声を、音声エージェント「Siri」のクラウドサーバで処理した。

新日本無線の認識支援モジュールを用いたデモ。助手席の位置から認識支援モジュールに向かって声を掛けても認識しないが(左)、運転席からの声は認識する(右)(クリックして拡大)

 MEMSマイクアレーは2つ組み合わせる。これにより、運転席の方向から発した声のみを拾い、助手席や後部座席の声、ロードノイズやカーオーディオの音は除去する。デモンストレーションでは、認識モジュールの左側つまり助手席を想定した位置から発した声は認識せず、右側の運転席を想定した位置からの音声は認識した。なお展示会場内は、多くの参加者により騒々しい環境にある。

 音源の分離や雑音除去のアルゴリズムは、新日本無線が開発した。同社はこれまでに、オーディオ機能向けの音源処理や、車室内での音楽の聞こえ方の処理などで実績があったが、音声認識向けの処理は初めて手掛けた。

 認識支援モジュールとスマートフォンを組み合わせて運転中の音声認識処理を実験した結果、窓を開けてエアコンの風量を最大にした条件ではスマートフォン単体で音声入力アプリを利用するよりも認識率が2〜3割向上したという。

 同社では認識支援モジュールとしての製品化は考えておらず、車載情報機器メーカーにデバイスや音声処理アルゴリズムの技術を提案していきたい考えだ。


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