実は現行のミラ、昨今の軽自動車の流れから見ると非常に安い本体価格です。
その理由は、「必要最低限でとにかく安く提供する」という考え方がベースになっているからだと考えます。この発想は、普通車並みのさまざまな快適装備を搭載することで高額化している軽自動車の流れに逆らって2011年に発売した「ミラ イース」で見事に市場を開拓した時から続いています。
軽自動車を主戦場としているダイハツ工業が販売しているモデルの中で、ホンダ「N-BOX」やスズキ「スペーシア」と競合する「ウェイク」の車両価格を見て見ましょう。ベースグレードで135万円となっています。
現行ミラの車両価格、88万円の妥当性はご理解いただいたと思いますが、ウェイクの135万円は妥当かどうか疑わしいでしょうか?
「軽自動車なのに……」
実はこの考え方が全ての元凶だと私は考えています。確かに昔は、「軽自動車=デザインの差」くらいしか存在していませんでした。しかし、スズキの「ワゴンR」を皮切りに、トールワゴンが流通するようになってから、軽自動車のバリエーションは飛躍的に増えました。さらに、今ではダイハツ工業の「タント」から始まったスーパーハイトワゴンも主流になりましたね。
軽自動車とひとくくりにするのではなく、軽自動車にも大衆車から高級車まで車格があると考えてみてください。
普通車には「カローラ」といった大衆車から「クラウン」のような高級車まで「車格」があり、乗り心地や内装の質感、静粛性などに大きな差が設けられ、それらが全て車両価格の差として表れていました。軽自動車でも同じことが始まっていると考えてください。ただし、軽自動車は排気量と最高出力、ボディーサイズが制限されているため、価格差が大きくなりにくいという背景があります。
つまり、軽自動車ジャンルにおける大衆車は、現行のミラのように今でも100万円以下で入手でき、高級車に位置付けられるスーパーハイトワゴン系は最高で200万円まで到達する状況です。そのため、普通車ジャンルの大衆車といえるホンダ「フィット」やトヨタ自動車「アクア」よりも高額になっているということです。
今は“安いから軽自動車を選ぶ”のではなく、取り回しや利便性のバランスを考えて選んだ結果、軽自動車の高級車に行きついたというケースが多いということですね。
直接ご覧になられた方であればお分かりいただけると思いますが、軽自動車の高級車に装着されている内装の質感や、装備されている機構を見ると、普通車の大衆車を追い越していると感じさせられます。
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