一方、オープンフォグコンソーシアムは、2015年11月に英国のARM、米国のDell(デル)、Microsoft(マイクロソフト)、Cisco Systems(シスコシステムズ)、Intel(インテル)、プリンストン大学が創立メンバーとなって設立したFog Computing(フォグコンピューティング)の推進団体である。
フォグコンピューティングとは、クラウド(雲)コンピューティングをより現場(地面)に近い部分で使うという発想から、「地面に近い雲=霧(フォグ)」ということで名付けられたコンセプトである。IoT(Internet of Things、モノのインターネット)の活用などで現場のデータ取得が容易になる。一方で「これらの処理をどこで行うのか」という議論が生まれ、クラウドに送るのではなくデータを得る現場の末端でその都度処理するという「エッジコンピューティング」という考え方が生まれた。この、クラウドとエッジ(現場)の間で処理する機能を作るというのが「フォグコンピューティング」の考えだ。
同団体の初の地域委員会として「Japan Regional Committee」が2016年4月に立ち上がり、今回新たにIoT推進コンソーシアムとの連携を発表した※)。
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村井氏は「IoTはデバイスやデータを組み合わせて価値を実現していくもの。こうしたデータの処理をクラウドとエッジの間の環境で実現し、これらの標準化なども推進しているオープンフォグコンソーシアムとの提携は、新たな仕組みを実現する出発点となるもの」と述べている。
一方で、オープンフォグコンソーシアム 代表(プレジデント)でインテルのチーフストラテジストであるジェフ・フェダーズ(Jeff Fedders)氏は「オープンフォグコンソーシアムは設立当初からグローバルを目指した組織だったが、その最初の地域委員会として日本組織が発足。IoTの変革はOT(制御技術)とIT(情報技術)の融合が大事だといわれているが、オープンフォグコンソーシアムではOTやITとともに5Gをはじめとする通信技術も合わせてともに変革を目指すことが特徴である」と述べている。
IICでは既に、ドイツのインダストリー4.0推進組織である「プラットフォームインダストリー4.0」などと標準化などにおいて連携していく方針を示している。一方で、プラットフォームインダストリー4.0は、日本の経産省が関わるロボット革命イニシアティブ協議会とも2016年4月に連携する覚書を交わしており、今回IoT推進コンソーシアムとの連携が実現したことで、日米独の連携関係が生まれることになる。
ただ、実際にはまだこれらの連携による具体的な活動については、まだ定まっておらず、今後の話し合いで活動の内容を決めていくとしている。
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