もう1つ、Robotic Compositeは複合材向けの3Dプリンティング技術だ。ストラタシスのFDM技術と、シーメンスのモーション制御とPLMの技術を融合した技術だ。同技術は、これまで一方向のみに積み上げるしかなかった3Dプリンタの常識を覆すもの。Robotic Compositeはワークテーブルもエクストルーダーも、XYZの軸で固定されることなく自由自在に動く。その動作は5軸マシニングセンタさながらだ。一種の積層工程ではあることに変わらないが、造形物の「層」が実質なくなるため、造形物の表面は滑らかになり、部品の方向によって強度を損なう心配もなくなる。異方性のある材料も採用できる。
両技術は今もなお開発の方向性やニーズをパートナー企業と探っている状況だという。今後のストラタシスは技術パートナーとなり得る日本企業にもアプローチしていく考えだ。
GrabCADは2009年に設立され、3Dデータコミュニティーとしては2011年からスタートした。以来、同コミュニティーは着々とユーザー数を伸ばし、現時点のユーザー数は約300万に上る。過去には、GrabCADに数多く集うエンジニアたちの知見を生かすべく、ゼネラル・エレクトリック(GE)と共に3Dデザインコンテストを開催したこともあった。
現在のGrabCADには、設計製造コンテンツのためのハブ「GrabCAD Community」、設計コラボレーションとファイル管理が可能な「GrabCAD Workbench」、3D CADと3Dプリンタを簡単につなぐ「GrabCAD 3D Print」がある。
2016年6月よりGrabCAD 3D Printのβ版を提供開始した。GrabCADを用いることで、手元の3D CADデータを簡単に読み込み、ストラタシスの各3Dプリンタと即接続し造形できる仕組みだ。メジャーな3D CADのネイティブフォーマット(Creo、SOLIDWORKS、NX、CATIA、Inventor)とSTEPやIGESなど幾つかの中間フォーマットをサポートしている。パーツ単体データだけではなく、アセンブリデータも利用できる。現時点の言語は英語のみだ。
GrabCAD 3D Printを用いることで、CADと3Dプリンタの間にあったさまざまなプロセスやソフトウェアを1つのプラットフォームに統合可能だ。GUIや操作手順も極力簡素化し、専門トレーニングも不要にしている。「まるで書類データを紙にプリントするような使い勝手が理想と考えて開発に取り組んでいる」(クリーガー氏)。
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