シーメンスヘルスケアと相良病院が、乳がん検診の現状や、全身検査が可能なPET-MRI同時撮影装置「Biograph mMR」を使った最新の検診手法について説明。マンモグラフィーだけでは乳がんを見つけ出すには万全とはいえず、超音波やMRIなども組み合わせる必要があるという。
シーメンスヘルスケアと相良病院(鹿児島県鹿児島市)は2016年8月8日、東京都内で会見を開き、乳がん検診の現状や、全身検査が可能なPET-MRI同時撮影装置「Biograph mMR」を使った最新の検診手法について説明した。医療保険が適用できると共に定期検診も行われているマンモグラフィーだけでは乳がんを見つけ出すには万全とはいえず、超音波やMRI(磁気共鳴画像診断装置)なども組み合わせる必要があるという。
日本人の死因の第1位となっているがん。女性で最も多いのが乳がんだ。その乳がんを早期に発見する乳がん検診で広く利用されているのがマンモグラフィーである。相良附属病院ブレストセンター 放射線科部長の戸崎光宏氏は「マンモグラフィーによる乳がん検診の重要性は変わらないが、乳腺濃度が高いと乳がんの検出感度が低くなる。アジア人の50歳未満女性の8割は、高濃度乳腺(デンスブレスト)であり、マンモグラフィーだけの乳がん検診では不十分だ」と語る。
実際に、厚生労働省が実施している大規模臨床試験「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験(J-START)」が発表した中間報告では、超音波検査の有効性を示唆する結果が出ている。
また、欧州では遺伝子検査などから分かった乳がんリスクに応じて、マンモグラフィーのみ、マンモグラフィー+超音波検査、マンモグラフィー+MRIといった個別化検診を行う事例も出ている。マンモグラフィーによる乳がん検診を重視してきた米国でも、マンモグラフィーで高濃度乳腺であることが分かった場合に、そのことを通知し、追加の画像検査を受けるよう受診を進めることを義務付ける法律の制定が各州で進んでいるという。
戸崎氏が所属する相良病院は「アジアNo.1の乳がん専門病院」を目指して、さまざまな活動を展開している。2015年5月には、シーメンスヘルスケアとの間で、最先端の乳がん治療などを行う女性医療センターの設立・運営に関するパートナーシップの基本契約を締結している(関連記事:鹿児島の病院が歩む、アジアNo.1女性医療機関への道のり)。
相良病院 理事長の相良吉昭氏は「当院では2016年4月から乳腺濃度を通知するようにしている。そしてマンモグラフィーで検診が十分でないと判断した場合には、必ず超音波検査を受けてもらうようにしている。ただし、超音波検査は自費になるので患者の負担が大きい」と語る。また2016年9月には、マンモグラフィーと超音波診断装置を共に搭載した乳がん検診車を導入し、鹿児島県下の巡回を始める計画だ。
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