ロボット新戦略を追い風に、“姿勢”に最適化したセンサーをパナソニックが開発産業用ロボット(1/2 ページ)

パナソニックは、ロボットの姿勢検知用途に絞り込み、センサーを組み合わせてパッケージ化した「モーションセンシングユニット」を開発。ロボット新戦略などにより、需要が増すロボットの開発を簡略化し、開発期間やコストを低減する狙いだ。

» 2016年07月27日 10時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(パナソニックAIS社)は2016年7月26日、技術発表会を開催し、センサー関連の技術紹介を行うとともに同年7月19日に発表した「モーションセンシングユニット」※)について紹介した。

※)関連記事:姿勢情報を高精度検出する、パナソニックのロボット用センシングユニット

 パナソニックではBtoB(業務用)およびソリューション提案の強化を全社的な方向性として打ち出している。パナソニックAIS社が扱う部品事業でも、単純なモノ売りだけではなく、モジュール化やソリューション化などを強化しており、今回発表した「モーションセンシングユニット」についても同様のコンセプトで生まれた製品となる。

 同製品は、3軸のジャイロセンサーと3軸の加速度センサーで検出した動きを組み合わせ、XYZ方向の回転運動と直進運動の6軸検出を可能とした自社開発の高精度センサーを搭載。同センサーとともにマイクロプロセッサを内蔵しており、同プロセッサ内に搭載したソフトウェアとパラメータ設定により、用途に合わせた姿勢検知が実現できる。サイズは74×49×16(縦×横×高さ)mmで、姿勢検出精度は0.2deg(XY軸)および1.0deg(Z軸)角速度計測範囲は±300dps(XYZ軸)、加速度計測は±2.9G(XYZ軸)で、出力周期は1msとなっている。通信インタフェースはUARTとSPIを用意する。サンプル出荷価格は18万円で量産開始は2017年度中としている。

photo モーションセンシングユニットの強み(クリックで拡大)出典:パナソニック

あえてロボット用途に特化

 同製品は決してロボットだけに用途が限られたものではない。しかし、今回はソフトウェア開発やパラメータ設定などでロボット用途に限定したことが最大の特徴である。

photo パナソニックAIS社センシング事業開発部 主幹 プロジェクトリーダーの大森正氏

 パナソニックAIS社センシング事業開発部 主幹 プロジェクトリーダーの大森正氏は「先行して似たコンセプトのセンシングユニットを発表した競合などもあるが、何に使うかという用途までは見えていない状況だ。当社はまずロボット領域に市場性があると見込み、サービスロボットと産業用ロボットの姿勢検知に特化して打ち出したことが特徴だ」と述べる。

 2015年1月に発表された「ロボット新戦略」は安倍政権の成長戦略の大きなカギとされている。同戦略では「ロボット創出力の抜本強化」と「ロボットの活用・普及(ロボットショーケース化)」「世界を見据えたロボット革命の展開・発展」などを取り組みの柱とし、既存の産業用ロボットの利用領域の拡大とともに、サービスロボットなど生活や産業へのロボット技術の実装などを進めていくとしている。

 これらの背景から「ロボティクス市場の拡大や多様化が求められるようになる中、ロボットをいかに効率的に開発するかという点が重要になってくる。開発したロボット用モーションセンシングユニットはこうしたニーズに応える製品だ」と大森氏は語る。同モーションセンシングユニットを使うことで「正確なものではないが、パラメータなどの開発に3〜4人のチームメンバーで約2カ月かかった。ロボット開発時に、これくらいの開発リソースは削減できるといえる」と大森氏は述べている。

photo ロボット開発を取り巻く環境(クリックで拡大)出典:パナソニック
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