無償3D CAD「FreeCAD」で板カムの設計に挑戦!無償3D CADレビュー(3/5 ページ)

» 2016年07月11日 10時00分 公開
[伊藤孝宏MONOist]

 さて、停留角・割付角の式やカム有効径の式くらいであれば、電卓でも計算できますが、MS曲線は計算する気も起きないほど面倒だと思います。そこで、以上の設計手順をエクセルファイルにしたものを用意しました。こちらからダウンロードできます。

 MS_CAM.xlsmはVBAを使っているため、マクロが動作するようにセキュリティの設定と、起動時にコンテンツの有効化を行ってください。MS_CAM.xlsmを起動して、図4に示す「タイミング線図」シートを選択してください。シートの黄色のセルが入力する必要のある箇所です。

図4:タイミング線図シート

 ストローク、下端時間、上昇時間、上端時間を入力してください(対称形状を前提としているため、上昇時間と降下時間とは等しくなります)。タイミング線図が対応して変化します。

 次に、図5に示す「カム作図」シートを選択し、「カム作図」ボタンをクリックすると、タイミング線図に対応したカム形状が設計され、表示されます。

図5:カム作図シート

 なお、MS_CAM.xlsmでは、最大圧力角を30度、無次元最大速度を1.76としています。カム形状を表示するグラフは縦横比を同じにするために、座標の最大・最小値を固定しています。設計された大きさに合わせて適宜変更してください。「カム回転」ボタンをクリックすると、18秒ほどでカムが1回転します。カムの大きさや形状を見て、タイミング線図を見直して、再度、「カム作図」ボタンをクリックしてといった作業を繰り返して、所望のカム形状を得たら、「カム形状出力」ボタンをクリックすると、FreeCAD用にカム形状の座標値を出力します。

 シートのJ1セル記載の名称で拡張子がdatのファイルが、MS_CAM.xlsmと同一のフォルダ内に出力されます。横のG1セルのX座標シフトとは、後述のようにカムの形状読込みに、FreeCADの翼型作図機能を用いるには、出力された座標値のX座標が正の範囲になければなりません。この、正の範囲にするためのシフト量がX座標シフトです。従って、出力されたデータのカム中心は原点とは、ズレています。後ほどFreeCADでカム中心を原点に移動させる際に、この値分だけX軸負方向に移動させます。なお、表示されるX座標シフトは、設計されたカムに応じて最小限の値が表示されますが、これよりも大きな値、例えば100などに変更しても構いません。

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