製造現場のIoT活用といっても何から手を付ければ良いか分からない……。そんな中で既存の設備を有効活用した設備監視システムが登場した。ポイントは製造機器に付けている「信号灯」である。
製造現場のIoT(Internet of Things、モノのインターネット)が大きな注目を集めている。しかし、実際に製造現場では「何から手を付けてよいか分からない」や「コストが掛けられない」など戸惑う声なども多い。こうした製造現場のIoTに対する期待と現実のギャップを埋めるサービスとして新たに東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)が2016年3月29日に発表したのが「MCFrame SIGNAL CHAIN」である。
MCFrame SIGNAL CHAINは、パトライトの「AirGRID」を活用することで工場内の機器の信号灯がどういうステータスにあるかというのを無線情報で集め、記録することで設備の稼働監視ができるというサービスだ。工場の設備監視については、各種機器にセンサーを搭載したり、情報を収集するために新たな通信機器などを設置したりするなどさまざまな付帯作業が必要となる。また、最終的に改善したい内容に対して、必要なデータを求める粒度で取得できるようにするためには、機器の状況と、データの内容を突き合わせて何度も整合性を確認しなければならず、導入までの負担が大きくなるケースも多い。
パトライトのAirGRIDは、パトライト製信号灯に乗せるだけで、機器情報が無線で転送されるシステムである。製造現場における機器の異常や停止などは、パトライトを含む信号灯で可視化されているケースがほとんどで、この信号灯情報を収集して記録するだけで、各種機器の稼働状況が把握できる。B-EN-Gではこの点に着目し、AirGridをエッジデバイスとし、同データを収納するIoT基盤を組み合わせることで、設備管理ソリューションを開発。MCFrame SIGNAL CHAINとして2016年4月25日から提供する。
MCFrame SIGNAL CHAINは、AirGRIDから無線で稼働信号を自動取得するため、工場内配線工事をすることなく簡単に設置が可能だ。また設備トラブルの実績記録用に、専用入力アプリを提供することで、人手による作業内容も記録することが可能である。アンドンやKPIなど多彩な切り口のアプリケーションを提供。設備状況はWebブラウザからリアルタイムで一括監視し、直感的なグラフ表現やアラートで見える化を行える。さらに、設備状況の表示は、停止時間、段取替え時間など自由な切り口で分類・集計でき、稼働分析を行うことでオペレーションの効率化を支援できる。
これらにより、設備総合効率(OEE)をはじめとする指標の管理や稼働状況の見える化、人のナレッジの集約と共有などを実現可能だ。同システムは1拠点当たり「500万円程度になるだろう」(B-EN-G)としている。これにAirGRIDのハードウェア料金を加えた金額で、すぐに製造現場の設備管理を行えるという。同社では「初年度で5〜6件は販売したい」(B-EN-G)としている。
B-EN-Gでは2016年2月に設備管理サービスへの参入を発表(関連記事)していたが、MCFrame SIGNAL CHAINも設備管理の総合ソリューションへの発展も視野に入れる。データ分析機能や、既存のERPシステムとの連携などの実現にも取り組む他、今後はAirGRIDだけでなく仮想デバイスを活用したPLCデータの活用などにも取り組む方針を示している。
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