それでは動作を見ていきましょう。
まずは図6のpin11には1の入力、pin12には0の入力が加わった際の動作です。この場合Q1のPNP型のトランジスタのベースには1となりますので、Q1のエミッターとコレクター間は導通しません。一方Q2のNPN型トランジスタのベースは1となりますので、Q2のコレクターとエミッター間は導通します。よってモーターのA端子はGNDにつながります。
今度はトランジスタQ3とQ4の動作を見ていきましょう。Q3のPNP型のトランジスタのベースには0が入力されますので、エミッターとコレクターが導通し、モーターのB端子にはプラスの電圧が加わります。またQ4のベースには0が入力されますが、このトランジスタはNPN型のトランジスタですので、コレクターとエミッター間は導通しません。この場合モーターのA端子にはマイナス、B端子にはプラスの電源がつながったことになります。仮にこの時の回転方向を正転とします。
今度は先ほどとは逆に、pin11に0、pin12には1が入力された場合の動作についてみていきましょう。
Q1のベースは0が入力されます。Q1はPNP型のトランジスタですのでエミッターとコレクター間が導通しプラスの電源がモーターのA端子とつながります。Q2のベースにも0が入力されますが、Q2はNPN型のトランジスタですから、コレクターとエミッター間は導通しません。
Q3とQ4はどうでしょう。それぞれのベースには1が入力されますので、Q4のNPN型のトランジスタのコレクターとエミッター間のみ導通します。よってモーターのB端子には電源のマイナスがつながります。よってモーターのA端子にはプラスそしてB端子にはマイナスの電源がつながり、先ほどとは逆となります。先ほどが正転としたのに対して今度はモーターはその逆回転します。
pin11とpin12が共に1が入力された場合はどうでしょう。その場合はNPN型トランジスタのQ2とQ4のコレクターとエミッター間がつながります。モーターのAとBの端子には電源のマイナスがつながることになります。この場合モーターのAとBには電位差が発生しませんので、モーターには電流が流れません。よってモーターは停止した状態になります。
逆にpin11とpin12がともに0が入力された場合はどうでしょう。その場合はPNP型トランジスタのQ1とQ3のコレクターとエミッター間がつながります。モーターのAとBの端子には電源のプラスがつながることになります。この場合モーターのAとBには電位差が発生しませんので、モーターには電流が流れません。先ほどと同様にモーターは停止状態になります。
以上のpin11とpin12の入力に対するモーターの動作をまとめると、下表のようになります。
Pin11の入力 | Pin12の入力 | Aの極性 | Bの極性 | 回転方向 |
---|---|---|---|---|
1 | 0 | マイナス | プラス | 正転 |
0 | 1 | プラス | マイナス | 逆転 |
0 | 0 | プラス | プラス | 停止 |
1 | 1 | マイナス | マイナス | 停止 |
今回はマイコンから直流ブラシ付きモーターを制御するためのさまざまなTipsを紹介しました。特にモーターの正転・逆転回路は写真のような市販されている専用デバイスを使うのが一般的ですが、ここではあえてトランジスタで回路を組んでみました。
皆さんの電子回路に対する理解が深まることを期待します。次回はモーターのパワーを制御するPWM(パルス幅変調)について紹介します。お楽しみに。(次回へ続く)
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