東芝がヘルスケア社を廃止へ、リストバンド型センサーは売却も:医療機器ニュース
東芝は2016年3月末でヘルスケア社を廃止する方針を決めた。東芝メディカルシステムズの株式の過半を売却する方針は変更なく、重粒子がん治療装置やゲノム解析受託サービスは東芝内で事業を行う。リストバンド型センサー「Silmee」などの事業は東芝グループの内外への移管を検討するとしている。
東芝は2016年2月4日、東芝メディカルシステムズを中核とするヘルスケア事業の体制見直しについて方針を決定したと発表した。同社は2015年12月、不正会計問題を端緒とする経営再建に向けた「新生東芝アクションプラン」を実施する上で、東芝メディカルシステムズの株式の過半を売却することを決めており、それと関わりの深いヘルスケア事業の体制見直しも必要になっていた。
まず2016年3月末で、社内カンパニーとして東芝メディカルシステムズを含めてヘルスケア事業を統括してきたヘルスケア社を廃止する。ヘルスケア社で担当していた、重粒子がん治療装置、ゲノム解析受託サービスなどは他部門へ移管し、東芝グループ内で引き続き事業を行う。
リストバンド型センサー「Silmee」などの事業は東芝グループの内外への移管などを検討し、2016年3月末をめどに事業の方向性を決定する。
リストバンド型センサー「Silmee」の装着イメージ(クリックで拡大) 出典:東芝
ヘルスケア社の廃止による事業体制の見直しに合わせて、国内のヘルスケア事業に関わる人員の再配置および、再就職支援を含む早期退職優遇制度を実施する。対象人数は約90人。早期退職優遇制度は、40歳以上かつ勤続10年以上の社員に適用し、2016年3月末までの退職を前提に同年2月末から3月上旬に募集を始める。
なお、今回のヘルスケア事業の見直しに伴う費用として10億円が計上されている。
- 東芝がヘルスケア社を新設へ
東芝は、ヘルスケア事業の強化を狙い、東芝内のヘルスケア関連事業部門を統合した社内カンパニー「ヘルスケア社」を2014年7月1日付で新設すると発表した。社内カンパニー化により事業展開の加速拡大を図り、ヘルスケア事業で2016年3月期に売上高6000億円達成を目指す。
- 次世代製品と差異化技術を研究開発するヘルスケア開発センターを開所
東芝は、次世代製品の開発と中長期の差異化技術の研究開発を行う拠点として、「ヘルスケア開発センター」を開所。合わせて、ヘルスケア事業の国内外の研究開発人員を増員するなど、ヘルスケア分野の研究開発体制を強化する。
- 活動量に加えて会話量や食事時間を測定できるリストバンド型生体センサー
東芝は、生体センサー「Silmee」シリーズの新商品として、リストバンド型活動量計「Actiband」に会話量測定や食事時間検出などの新機能を追加したリストバンド型生体センサー「Silmee W20」と「Silmee W21」を発売する。今後は、生体センサー関連商品を「Silmee」シリーズとしてブランド統一する方針だ。
- 超伝導技術を用いた重粒子線がん治療用の回転ガントリー
東芝は、放射線医学総合研究所とともに、腫瘍に対して360度の任意の角度から重粒子線を照射できる回転ガントリーを完成させたと発表した。世界で初めて超伝導電磁石を採用し、従来の大型機器から大幅に小型化・軽量化することに成功した。
- 東芝、日本人の遺伝子情報をゲノム解析するツールを用いたサービス開始
日本人に特徴的な遺伝情報を短時間で解読可能なゲノム解析ツール「ジャポニカアレイ」を用いることで、従来1カ月以上の時間と1人当たり50万円以上の費用がかかっていたゲノム解析を、約1週間、1人当たり1万9800円(税抜き)で可能にした。
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