「開発スピード」は何をもたらすか? 「ニッチ、100カ国に100台」というCerevoの選択メカ設計イベントリポート(1/4 ページ)

2015年12月に開催されたMONOistセミナー「大手とベンチャーが語る『開発スピードが生み出すモノづくり力』」で、Cerevoが基調講演に登壇し、同社の開発スピードに対する考えやスピードアップのための手法について語った。

» 2016年01月26日 10時00分 公開
[杉本恭子MONOist]

 2015年12月に開催されたMONOistセミナー「大手とベンチャーが語る『開発スピードが生み出すモノづくり力』」。大手/ベンチャーを問わない各社が実践しているスピードを意識した開発スタイルや、その背景にある考え方や市場のニーズ、さまざまなツールなどが紹介された。モノづくりにとって永遠のテーマともいえる開発スピードは、今の時代に、何をもたらすのだろう。

 大手、ベンチャーそれぞれの課題もある中で、各社は開発スピードを高めるために、どのような取り組みをしているのか。ニッチな家電で注目を集めているCerevoの講演「『グローバルニッチ』を実現するベンチャー流開発手法」を中心に、開発スピードに対する考え、スピードアップのための手法を紹介する。

非常にニッチな需要に応えるユニークな製品

 Cerevoは2007年4月に3人で設立された家電メーカーだ。2014年春ごろまでは、社員12〜3人という規模だったが、現在の社員数は78人と急速に拡大している。その約80%を占めるエンジニアが、開発から量産までに携わる。

Cerevo CTO 松本健一氏

 今回登壇したCerevo CTOの松本健一氏は、もともとパナソニックで、プロトコル設計、サーバサイドアプリケーション開発や遠隔録画予約サービスの企画、運営などを担当したエンジニアだった。現在はCerevoの「作る」部分をまとめる立場にある。

 同社ビジネスのスローガンは「Global Niche」。「競合が多く、薄利多売、機能勝負というビジネスではなく、世界中を探してもCerevoしか作っていないもの、世界で数社しか作っていないものを作る」(松本氏)というものだ。販売に関しては「1カ国で100台ずつ、100か国で売れば1万台」という考え。家電とはいうものの、スポーツ用品や玩具など、分野としては幅広く、しかし非常にニッチな需要に応える製品を開発、販売している。

 幾つか製品を紹介すると、例えば「DOMINATOR MAXI」は、アニメ「PSYCHO-PASS(サイコパス)」 に登場する形が変化する銃「ドミネーター」を精巧に再現したスマートトイで、アプリと連携して遊ぶことができる。

「DOMINATOR MAXI」

 「クラウド接続型変形銃」ということだが、いくら説明しても、そのアニメを知らない人には、恐らくピンとこないだろう(関連記事:「PSYCHO-PASSサイコパス」の特殊拳銃「ドミネーター」再現とIoT)。

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