メータークラスタ向け車載マイコンは、サイプレスが「シェア3〜4割を握る」(赤坂氏)という重要な製品だ。同社初の40nmプロセスを上級車種ではなく量販車種向けに採用したのは、手薄になっていたラインアップを補強するためだ。「上級車種のメータークラスタ向けの多機能なマイコンは可能な限り早急に市場投入したいという思いがあり、すぐに利用できる富士通のマイコン/アナログ半導体事業部の55nmプロセス技術で開発した。今回の製品は、スパンションの40nmeCTフラッシュ技術をTraveoファミリにしっかりと適用した上で、従来カバーできていなかった普及価格帯のメータークラスタに対応することができた」(同氏)という。
ゲートウェイECU向けのS6J335xシリーズの最高動作周波数は、ボディ向けとしては高速な240MHzである。従来のボディ向けTraveoファミリが144MHzだったので大幅な高速化となる。これは、車載LANの複雑化に対応するためだ。なお、最大動作温度が125℃で利用する場合は180MHz、同105℃であれば240MHzとなる。また、多数のECUと接続することになるゲートウェイECU向けにCAN-FDインタフェースは最大8チャネル用意した。
今回の会見では、Traveoファミリの新製品と組み合わせて用いるCXPI対応のトランシーバIC「S6BT11x」と電源IC「S6BP50x」も発表した。
S6BT11xは、自動車技術会がLIN(Local Interconnect Network)との置き換えを目指して策定した日本発の車載LAN規格であるCXPIはに対応するトランシーバICだ。CXPIは伝送速度が最大20kbpsとLINよりも通信応答性と信頼性に優れることで知られる。S6BT11xは既にサンプル提供が可能で、量産は2017年1〜3月期を予定している。
電源ICのS6BP50xは、コア電源を外部から供給する必要がある動作周波数200MHz以上の車載マイコンと親和性が高い。Traveoファミリの多くが最高動作周波数が240MHzであり、S6BP50xは最適な電源ICとなっている。アイドリングストップシステムを搭載する車両でエンジンを再始動する際に、鉛バッテリーからの出力電圧が下がってECUを動作させられないような状況でも、集積した昇降圧コンバータで動作電圧を確保できる機能を持つ。S6BP50xはサンプル提供が可能で、量産は2016年4〜6月期を予定している。
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