2006年(約216兆円)と2016年(約327兆円、予測)の世界生産額を比べると、リーマンショックによる停滞などはあったものの、10年間に1.5倍の規模に成長してきたことが分かる。一方で、日系企業の生産額は2007年の約52兆円をピークに、ほぼ40兆円前後を行き来しほとんど成長していない状況が読み取れる。
これらの生産額の変化を分野ごとに見ると、日本企業が停滞した理由を読み解くことが可能だ。電子情報産業の世界生産額の分野別構成比を2006年と2015年で比較すると、スマートフォンなどが成長した「通信機器」が6ポイント伸長した他、スマートフォンやクラウドの拡大などで活躍の場が増えた「ITソリューション・サービス」が4ポイントの増加。「ディスプレイデバイス」が1ポイントの増加となっている。一方で、「AV機器」は4ポイントの減少、「コンピュータ・情報端末」も4ポイントの減少、「電子部品」が2ポイントの減少となっている。
この状況を、日系企業が強い分野(シェアが高い分野)に照らし合わせると、「電子部品」「AV機器」「コンピュータ・情報端末」などの高シェアの領域が衰退しており、逆に弱い分野(シェアが低い分野)である「通信機器」「ITソリューション・サービス」などの市場が成長したということが分かる。
水嶋氏は「日本のエレクトロニクス産業は円高などの厳しい経済環境などで苦しい立場などもあったが、従来強かった市場が衰退し、通信やITなど成長領域を取り込むことができなかったことが苦戦の最大の要因だ。新たな成長エンジンを生み出す必要がある」と述べる。
その日系企業の新しい成長エンジンの中心に据えるのが「CPS(サイバーフィジカルシステム)/IoTの社会実装」だという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.