JEITAは2015年の電子情報技術産業の世界生産見通しを発表。電子情報産業の日系企業の世界生産見込みは2014年比7%増の42.8兆円の見通しとなり、国内生産額も増加した見込みだ。ただ一方で10年間の統計を見ると1.5倍に成長した世界生産額に対し、日系製造業の生産額はほとんど伸びていない事実が浮かび上がる。
電子情報技術産業協会(以下、JEITA)は2015年12月16日、電子産業の2015年の世界生産見込み額と、2016年世界生産予測額を発表した。電子機器や部品とITソリューション産業全体を併せた電子情報産業の、2015年の生産額は前年比13%増となる見込みで、2016年も同3%増と堅調に推移する予測を示している。
同協会では会員企業へのアンケートなどから、毎年世界および国内の生産額の調査を実施。各商品分野についての報告を会員企業などにフィードバックしている。この世界生産見通しの調査を開始したのは2006年からで、今回がちょうど10回目の調査となる。
JEITAの調査によると、電子情報産業(電子機器+電子部品+ITソリューション)の2015年の世界生産額は、対前年比13%増の318兆870億円と大きく成長する見込みだ。スマートフォンなどの通信機器の拡大や、自動車のIT化を取り込む電子部品やデバイスの伸びが堅調であった他、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)など新たなITソリューションサービスが伸長したことなどが要因だという。ただ「この金額は円ベースであり円安の影響で伸長したということもいえる。ドルベースでは事実上横ばいだった」とJEITA会長の水嶋繁光氏(シャープ取締役会長)は語る。2016年については、新興国市場の失速リスクはあるものの2015年比3%増の327兆2898億円を予測している。
このうち日系企業の生産額については、2015年は前年比7%増の42兆7968億円と順調な回復傾向を見せている。2016年についても2015年比で2%増の43.5兆円となり、4年連続のプラス成長になる予測を示す。水嶋氏は「薄型テレビや電子部品・デバイスの好調や円安の効果もあり2015年はプラス成長となった。2016年も省エネや小型化など日本企業に優位性があるトレンドが進むことからプラス成長を維持する」と述べる。
しかし、この一方で、日系企業のシェアとして見ると厳しい現実が見えてくる。2015年の世界生産額全体に対する日系企業の生産額のシェアは約13%で、2016年もシェアは微減する見込みだ。2010年まではシェア20%以上を占めていたことを考えると、6年間で約7%もシェアが低下したことになる。
世界生産額の調査は2006年から開始されており今回で10回目となるが、10年の経過を見るとさらに深刻な状況が浮かび上がる。
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