ヤマハ発動機が東京モーターショー2015で公開したバイク乗りロボット「MOTOBOT」。世界的ライダー、ロッシを超えるという壮大な目標を掲げるが、“彼”には違った使命もある。
ヤマハ発動機が「東京モーターショー2015」(一般公開日:2015年10月30日〜11月8日、東京ビッグサイト)にて公開した、二輪車を運転できる人型自律ライディングロボット「MOTOBOT(モトボット)Ver.1」(関連記事:目指すは200km/hのサーキット走行、ヤマハのバイク乗りロボ)。
2017年に最高時速200km/hでサーキットを駆け抜け、“史上最強のライダー”バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ・ファクトリー・レーシングチーム所属 MoToGPライダー)の背中を懸命に追いかける光景の実現を目指す“彼”の詳細を同社ブースで訪ねた。
MOTOBOTの最大の特徴は、搭乗するバイクに一切の改造を加えず、ロボットの操作のみで制御の難しいオートバイの運転を行うことだ。操作は人間が搭乗する際と変わらず、ハンドル、アクセル、ブレーキ(前後)、クラッチ、シフトの各操作を行える。
現時点では自己判断による人間のような完全な自律運転は実現しておらず、内蔵するジャイロや加速度センサー、カメラなどで外部の情報を取得し、オペレーターによる遠隔操作にて走行する。ただ、オペレーターが指示するのはロボットに搭載されたカメラの映像を見て「右に曲がる」「左に曲がる」など簡単な内容にとどまっており、指示に対してどのようにアクセルやブレーキ、クラッチ、ハンドルを操作するかの判断はロボットが行う。
同社は開発ロードマップとして、「2015年中の最高100km/h直進走行、スラローム走行、旋回走行」「2017年に人間の運転を上回るパフォーマンスの要件を解明し、最高速度200km/h以上でのサーキット走行を実現する」を掲げている。
現時点のMOTOBOTは「Ver.1」と名付けられていることもあり、走行制御にも改良の余地が大いにあるという。最たるものがハンドリングで、MOTOBOTはオートバイの運転で一般的な体重移動(重心移動)が行えず、コーナリングに際してハンドルを切るだけの操作しかできない。
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